2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
細野 雄三 京都産業大学, 理学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / 侵入過程 / 餌食と捕食者モデル / 感染症モデル / 相空間解析 / 特異摂動法 / 侵入速度 |
Research Abstract |
古典的なLotka-Volterra型の餌食・捕食者系モデルの進行波解の解析的研究はS. Dunbar (1983, 1984)が行っている。彼は、捕食者の非線形相互作用の項に自己密度効果を含まない場合を考察し、餌食の拡散係数が0の場合と餌食の拡散係数が捕食者の拡散係数を超えない場合に進行波解の存在を示した。我々は、彼の研究を出発点として、古典的なLotka-Volterra型の餌食・捕食者系モデルの進行波解の全体像を明らかにすることを目標として、本年度は餌食を追跡する捕食者の侵入を記述する進行波について相空間解析により以下の研究を行った。 1、 捕食者の非線形相互作用の項に自己密度効果を含まない場合で、捕食者の拡散係数がゼロのときに任意の正の速度を持つ進行波解の存在を示した。この結果に基づいて、捕食者の拡散係数が十分小さい場合に進行波解の存在を考察しているがまだ成果をあげられていない。その解明は今後の課題である。 2、 捕食者の非線形相互作用の項に自己密度効果を含む場合に以下の結果を得た。 (1)餌食の拡散係数がゼロの場合に、最小速度が存在して、その速度以上の任意の速度をもつ進行波解が存在することを証明し、この最小速度が線形予測によって得られる値と一致することを示した。 (2)捕食者の拡散係数がゼロの場合に、1の場合と同様に、任意の正の速度を持つ進行波解の存在を示した。この結果と特異摂動法を用いて捕食者の拡散係数が十分小さい場合の結果(細野、李、村田2009)との関係を検討中である。さらに、特異摂動法の範囲を超えた拡散係数の範囲での進行波解の解析は,進行波解の全体像を理解するために必要な今後の課題である。 なお、現在以上で得られた解析的な結果を論文として纏めており公表する予定である。
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