2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540167
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 悟 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90178971)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 秋雄 金沢大学, 理工研究域数物科学系, 教授 (20111320)
|
Keywords | 関数論 / 正則自己同型群 / ラインハルト領域 / チューブ領域 / 複素幾何学 / 正則同値問題 / リー群 / 正則ベクトル場 |
Research Abstract |
本研究では、正則自己同型群の研究とその複素解析学への応用を中心に、研究代表者および研究分担者の専門分野において主として、つぎのような研究成果を得た。 これまで行ってきた、複素多様体をその正則自己同型群により特徴付ける問題の研究に関連して、「2つのn次元等質有界領域DとEが、リー群として同型である正則自己同型群をもつならば、DとEは双正則同値になるか?」という問題の研究を行った。昨年度に得た、n次元連結複素多様体Mに対して、その正則自己同型群がn次元対称領域Dの正則自己同型群と同型な位相部分群Gをもち、Gの等方部分群がすべてコンパクトであるならば、M自身がDと双正則同値になるという結果を用いて、DとEが対称領域の場合は上記問題に肯定的解答を得る。そこでDとEが一般の等質有界領域の場合に取り組んだ。そしてDとEが等質な第1種ジーゲル領域の場合に、上記問題をより単純な問題へと還元することに成功した。具体的には、先ず、第1種ジーゲル領域DとEの間に、DとEのそれぞれの正則自己同型群の作用に関して同変な微分同型写像Fがあったとき、リー群論における共役性定理、第1種ジーゲル領域の実平行移動の群の特徴付け等を用いて、Fの虚部Hが実部変数に無関係であることを示した。そして、DとEのそれぞれ上の完備正則ベクトル場のなすリー環が有する階別リー環構造を用いて、Hが、Dの底として与えられる凸錐体VからEの底として与えられる凸錐体Wの上への微分同型写像であって、VとWのそれぞれの線形自己同型群の作用に関して同変なものを誘導するという結果を得た。これらのことより、上記問題を第1種ジーゲル領域の場合に解くためには、「2つのn次元等質凸錐体VとWが、リー群として同型である線形自己同型群をもつならば、VとWは線形同値になるか?」という問題を解決すればよいということを導いた。
|
Research Products
(3 results)