2011 Fiscal Year Annual Research Report
人口動態論に由来する吸収爆発混合型の非線形楕円型境界値問題の分岐解析
Project/Area Number |
22540170
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
梅津 健一郎 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00295453)
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Keywords | 解析学 / 非線形楕円型方程式 / ロジスティック / 非線形境界条件 / 大域的分岐解析 / 正値解 / 人口動態論 / 折り返し点 |
Research Abstract |
多次元ユークリッド空間の滑らかな境界を持つ有界領域において、ロジスティックタイプの反応項に従った半線形楕円型境界値問題を爆発型の非線形境界条件のもとで考察した。内在するパラメータによる正値解の存在と大域的挙動を分岐解析を駆使して研究した。本年度の成果を以下に述べる。 2008年に Garcia-Melian,Morales-Rodrigo,Rossi,and Suarezによって得られた分岐成分の大域的挙動に関する結果を変数係数の場合に拡張した。本研究では領域内部の吸収項であるロジスティック項と同次の爆発型非線形境界条件を仮定した。このとき、Suarezらは定数係数の場合に分岐成分が折り返し点を持つことを示し、あるパラメータの臨界値が存在して、それを超えると正値解を持たないこと、それ未満では安定な正値解をただ一つ持つ(最小正値解の存在)ことを導いた。非存在の結果は、呼応する時間発展方程式において、どんなに小さな初期値を選んだとしても解は爆発することを示唆している。つまり、その臨界値は生物の個体数の安定な定常分布と爆発を特徴付ける。 この定数係数はロジスティック成長率による淘汰を仮定しないときの生物固有の成長率にあたる。 本研究において、この成長率の空間非一様性を仮定して、Suarezらの既存の結果を得るには、境界のチューブ形状成る近傍において係数が正値であれば十分であることを示した。実際、境界においてこの係数が完全に退化する場合には、分岐成分はパラメータに関して大域的に延長可能であり、与えられる正値解は安定であることを示した。 得られた結果の証明は、陰関数定理、及び境界の近傍で局所化された時間発展方程式の爆発解析による。成果を平成24年3月9日に首都大学東京、変分問題セミナー(倉田和浩教授主催)において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分岐成分の大域的な振る舞いの解析においてキーとなる、折り返し点の存在についての考察が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
分岐成分の折り返し点の存在に関する議論を精密化する。分岐成分の大域的な振る舞いにおける爆発型非線形境界条件と変数係数(個体の実質成長率)の関わりを朋確にする.そのためには境界近傍における局所的な解析において、新たな比較原理を構築することが必須であると考える。
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Research Products
(2 results)