2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂動キルヒホフ方程式とp-ラプラシアンタイプの波動方程式の大域的研究
Project/Area Number |
22540171
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梶谷 邦彦 筑波大学, 名誉教授 (00026262)
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Keywords | 熱方程式 / キルヒホフ方程式 / 時間大域解 / p-ラプラシアン方程式 / L^p評価 / 境界値問題 |
Research Abstract |
1.熱方程式に対する半空間における初期値境界値問題が適切になるための条件は知られていて、いわゆる、ロパチンスキー条件と呼ばれている。この条件の意味は、境界の特性多項式B(x,t_1,t_2,…t_n)=x+b_1t_1+,,,+b_nt_n+dが(t_1,…,t_n)が実ベクトルでかつxの実部が正の時零にならないことである。さらにこの条件にプラスしてさらにどのような条件の下で解が時間に関して減衰するかという問題は興味ある研究課題である。今回、この問題に関して新たな条件の発見に成功した。特に解のL^P有界性、さらにL^p-L^q評価が成り立つための境界特性多項式に対する必要十分条件を導くことが出来た。この条件は特性多項式Bの係数b_1,…,b_n、dを用いて表現できる。 2.空間次元が多次元のキルヒホフ方程式に対する初期値問題の時間大域解および散乱作用素の存在を、初期値がある積分条件を満たす時に証明した。ここで提出した積分可能条件は判定が容易であり、また定理の証明を非常に簡素化し見通しよくした。今後の研究対象である、pラプラシアンタイプのキルヒホフ方程式の初期値問題の解の存在定理の取り扱いが可能になることが期待出来る。 3.ノントラッピング条件をみたす境界をもつ波動方程式の外部問題の解の時間減衰が多項式オーダーとなることは良く知られている。今回ノントラッピング条件をもたない境界を持つ波動方程式に対する外部問題の解の時間減衰が生じることが示せた。さらにこの減衰が多項式オーダーとなることを示すことが今後のおもな研究課題である。
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