2011 Fiscal Year Annual Research Report
摂動キルヒホフ方程式とp-ラプラシアンタイプの波動方程式の大域的研究
Project/Area Number |
22540171
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梶谷 邦彦 筑波大学, 名誉教授 (00026262)
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Keywords | 熱方程式 / キルヒホフ方程式 / 時間大域解 / L^p評価 / 混合問題 / p-ラプラシアン |
Research Abstract |
昨年度、熱方程式に対する半空間における初期値境界値問題の解のL^p有界性を証明したが、その際、解を積分表示し、その積分核を特異積分作用素とみなしてCalderon-Zygmundの定理を用いて解のL^p有界性を導いた。しかし残念ながらCalderon-Zygmundの定理はp=1およびp=¥inftyの場合は適用出来ないので、得られたL^p有界性の定理は1<p<¥inftyの制限がついた。今年度はこの制限を取り除くべく、解の積分表示において積分核を特異積分作用素ではなくて、可積分な積分作用素とみなすことによってp=1およびp=\inftyの場合にも解のL^p有界性の定理が得られ、さらにCalderon-Zygmundの定理を用いる必要がなくなったので、定理の証明も簡単になった。したがってこの定理を用いることによって、ストークス方程式の半空間における混合問題の解の表示および解のL^p評価が導くことが出来ることが期待できる。またこの結果を国内外の研究会で研究発表行なった。 さらに、昨年度、空間次元が多次元のキルヒホフ方程式に対する初期値問題の時間大域解および散乱作用素の存在を、初期値がある積分条件を満たす時に証明したが、今年度はこの結果について国内外で口頭発表を行いさらに論文にまとめ専門誌に受理された。また、この論文で導入された手法は独創的であり、p-ラプラシアンタイプのキルヒホフ方程式や波動方程式の解の時間大域解の存在証明に適用されると期待できる。 また摂動型波動方程式に課せられたノントラッピング条件無しで解の時間減衰を導くこと今年のおもな研究テーマである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、熱方程式に対する半空間における初期値境界値問題に対する解のL^p評価を積分作用素を用いて証明したが、今年度は証明を簡単にしてp=1、\inftyを含む形で定理の結果を改良した。
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Strategy for Future Research Activity |
摂動キルヒホフ方程式の散乱問題において提出した積分可能条件は判定が容易であり、また定理の証明を非常に簡素化し見通しよくした。今後の研究対象であるpラプラシアンタイプのキルヒホフ方程式の初期値問題の取り扱いが可能になることが期待出来る。また昨年度出来なかったpラプラシアンタイプの波動方程式の研究に着手したい。 ノントラッピング条件をもたない波動方程式の外部問題の解の時間減衰の多項式オーダーとなることを示すことが今後のおもな研究課題である。
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