2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540179
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小原 功任 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (00313635)
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Keywords | 超幾何関数 / ホロノミック系 / 計算数学 / グレブナー基底 / 微分作用素環 / 代数統計 |
Research Abstract |
本課題の研究目的は、多変数の超幾何関数に対し関数等式、特にパラメータつき変換公式を探索することである。具体的には、多変数超幾何関数の局所的性質(微分方程式)を利用して、関数等式の組織的探索を行う。関数等式とは2つの見掛けが異なる多変数解析関数の同一性のことであるから、 ・ある点での関数値が一致 ・偏微分方程式系が一致 が言えれば、同一の関数であることが分かるが、実際には偏微分方程式系が一致することを証明するのは、大変な計算になる。本研究では自作の高性能グレブナーエンジンyangを使用し、計算機代数的手法を援用しながら、この計算を遂行する。本年度は、研究の初年度ということもあり、グレブナーエンジンyangの機能を拡張し、また大規模計算に耐えうるように性能を向上させる作業を行った。超幾何関数はホロノミック関数と呼ばれる関数族の一部をなすが、yangの拡張された機能の応用として、、代数統計に由来するFisher-Bingham積分と呼ばれるホロノミック関数に対して、その一階偏微分方程式系を求めた。さらにその偏微分方程式系を用いて、Fisher-Bingham積分の極小点を導出する記号的数値解析アルゴリズムを開発した。この極小点導出は統計学におけるある種の最尤推定問題の解決に相当し、本研究課題の統計学に対する応用である。
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