2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540181
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤解 和也 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (30260558)
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Keywords | ネバンリンナ理論 / トロピカル数学 / max-plus代数 / 超離散方程式 / (q-)差分方程式 / ディオファントス近似 |
Research Abstract |
海外研究協力者であるUniversity of Eastern FinlandのIlpo Laine名誉教授・Risto Korhonen教授・Janne Heittokangas博士と次のテーマで共同研究を実施した:1)実数直線上で定義されたトロピカル有理型関数に対するネバンリンナ理論を有限区間上の理論へと拡張する。これは単位円板又は円環領域上の差分版ネバンリンナ理論の移植に対応する。2)実数直線から実射影空間へのトロピカルな正則写像に対する値分布理論を完成する。これは複素数直線から複素射影空間への正則曲線に関する差分版のカルタン理論の移植に対応する。その応用としてトロピカル有理型関数に対する第二主要定理の簡潔な別証明を与える。3)差分版のネバンリンナ理論を有理数列に対するある種の値分布理論としてディオファントス近似の研究の分野に移植する。4)指数多項式に対する或る精密な評価式を用いて、それらを係数とする微分方程式の解となっている有理型関数の零点分布に関する問題を解決する。これらはほぼ計画通り目的を達成し2つある状態で、各成果を仮題ながら以下の論文にまとめるべく準備をしている:[1] I.Laine, K.Tohge : Tropical Nevanlinna theory in a single variable. [2] R.Korhonen, K.Tohge : Tropical Nevanlinna-Cartan theory. [3] R.Korhonen, K.Tohge : A.Diophantine analogue of the second main theorem for the difference operator. [4] J.Heittokangas, I.Laine, K.Tohge : Exponential polynomial and differential equations.尚、Tropical Nevanlinna Theoryに関しては海外の出版社からLecture Notes執筆の打診があり、最近Laine,Korhonen各教授とその下準備を始めたところである。そこには本研究課題の成果の多くが含められる予定である。また国内では、連携研究者の石崎克也教授(日本工業大学)とq-差分方程式の整函数解の増大度評価に適用する目的で、対数的位数・対数的タイプの概念を導入して研究した。位数0をもつ整函数のテイラー係数を用いた精密な評価式を導出し、通常の位数・タイプに関する古典的な結果と類似した関係式が同様に成立することを発見した。増大度は小さいものの超越的である有理型函数が対象となる複素力学系などの関連領域における研究での応用も期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目9に記載した海外共同研究者3名が、それぞれ外国人研究者再招へい事業・自身の研究費・本課題の繰越し承認課題により金沢大学に滞在し極めて重要な研究活動を実施できた。その一方で家庭と公務に関する事情から、その後すぐに研究代表者がFinlandのJoensuu市に各氏を訪ねてそれらの研究成果の更なる精密化と論文執筆に関する取り纏めができなかったことで、区分(1)の進展であるとの自己点検評価には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は各共同研究者の家庭の諸事情と研究機関における用務が重なったことから、研究連絡の頻度に斑が生じた。然し、今後については全員について状況が改善される見通しである。したがって特別な研究計画の変更が必要であるとは考えていない。
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Research Products
(2 results)