2011 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式論における解の一意接続問題と複素位相法
Project/Area Number |
22540185
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大鍛治 隆司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20160426)
|
Keywords | 強一意接続性 / 放物型方程式 / コーシー-グルサー問題 / 解析接続 |
Research Abstract |
研究代表者大鍛治隆司は、前年度に得られたアイデアを元に、熱方程式型作用素に対する解の強一意接続性に関する研究をさらに発展させた。特にスカラーポテンシャルおよびベクターポテンシャルの特異性が臨界型である場合の結果を改良すると共に、大域型強一意接続性のみならず局所型強一意接続性についての研究も行った。この解の局所型強一意接続性とは、従来の楕円型方程式に対するものとは異なり、放物型方程式に適合するよう修正された以下に述べる解の性質をいう。即ち「解がある時刻tと空間内のある点xにおいて時空間方向に無限次の零点を持てばその解は時刻tにおいて点xのある近傍で恒等的に零となる」性質である。これを示す際重要なのは「2段階式カルレマン評価法」と名付けた以下の方法である。即ちまず作用素の主部に対してべき型の特異性を持つ重み函数に関しての1段目のカルレマン不等式を確立した後、これを用いて低階項も込めた元の方程式に対する解は無限次の零点を持てば常に指数関数的に退化する無限次の零点を持つことを示す。最後にこの強い退化の性質から指数関数型の特異性を持つ重み函数に関する2段目のカルレマン不等式を確立し、これにより解はある近傍で恒等的に零となることが示される、この結論は従来の結果を大幅に改良し、対応する単独楕円型方程式に対する結果とほぼ同等なものである。 また、濱田雄策氏(京都工芸繊維大学)と竹井義次氏(京都大学数理解析研究所)との共同研究において、整函数を係数を持つある偏微分方程式のコーシーグルサー問題について共同研究を行い、その解の特異性ならびに解の解析接続に関する大域的な結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放物型作用素に対する一意接続問題をあるコンパクトレゾルベントを持つ作用素のスペクトル問題と関連づけ、その解明を基にして2段階式カルレマン評価法を適用することにより臨界特異放物型作用素に対する解の一意接続定理を確立できたことによる。
|
Strategy for Future Research Activity |
種々の偏微分方程式の解に対する一意接続問題並びに関連するスペクトル問題や逆問題について複素位相法の観点から再検討し、特異性を持つ作用素に対して有効なカルレマン評価法の開発推進に取り組む。
|
Research Products
(3 results)