2011 Fiscal Year Annual Research Report
点過程およびギブス場の理論の整備と、平衡過程、フェルミオン過程等の応用と一般化
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22540188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 陽一郎 東京大学, 生産技術研究所, 名誉教授 (20033889)
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Keywords | 点過程 / ギブス測度 / 平衡過程 / フェルミオン過程 / 一般化 |
Research Abstract |
課題1「点過程論としてのギブス測度の理論の再構成」に関しては、当初予定通り、引き続き一歩ずつ作業を進めている。関連する研究としては、国内では白井朋之氏(九大)たちがGinibre ensembleについての詳しい研究を進めており、ドイツのB.Nehring(Potsdam)とH.Zessin(Bielefeld)は、高橋の結果を踏まえて、彼らがgeneral ideal Bose gasと呼ぶ確率場のクラスに関して、moment measuresの経路空間表現の研究を始めている。 課題2「点過程論の整備を土台とした諸課題への応用」に関しても、今年度計画のとおり、各地の研究者との情報交換、討論を行った。今年度は本研究と同名の小研究会の開催は諸般の事情で見送ったが、1月の新潟大学工学部で開催された研究会をはじめとして、いくつかの研究会に参加した。また、FIRST合原プロジェクトのテーマワークショップ「点過程時系列データ」(11月16日)において点過程論の数学的な基礎に関するサーベイ講演を行うとともに、時系列解析や地震統計学など関連する研究者との情報交換・討論を行った。その結果として、近年ワークショップ主催者の平田氏をはじめとする時系列解析の研究者たちが、さまざまなデータに適用しているリカーランス・プロットの手法の重要性を再認識するとともに、その数学的な基礎づけが必要となっていることに気付いた。多くの場合、そのプロットは、数学的には確率過程の水準集合として得られる点過程と捉えることができる。しかしながら、ガウス確率過程に限定しても1960年代までの研究以後、局所時間の研究を除けば、水準集合の研究はあまり行われていない。その原因は数学的な動機の欠如にあると推測され、このような新たな問題意識から、その研究に着手し得るかどうかは、本研究の当初の計画外ではあるが、今年度以後検討すべき新課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として(2)と評価している。 課題1については、研究ノートは書き溜めつつあり、今年度中に、レクチャーノート作成に取り掛かる。また、課題2Aについて着手する準備は既に整えたつもりであり、本格的な研究に取り掛かる。課題2B,2Cについては、今年度に本格的な研究のための準備を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、各地の研究者との情報交換を行うとともに、進展状況に合わせてミニ研究会を開催する。なお、研究遂行上での問題点はとくに生じていない。
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Research Products
(2 results)