2012 Fiscal Year Annual Research Report
点過程およびギブス場の理論の整備と、平衡過程、フェルミオン過程等の応用と一般化
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22540188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 陽一郎 東京大学, 生産技術研究所, 名誉教授 (20033889)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 点過程 / ギブス測度 / 平衡過程 / フェルミオン過程 / 一般化 |
Research Abstract |
課題1.点過程論としてのギブス測度の再構成:古典的諸結果の整理と簡明化の作業を地道に続けている。その一端して、大偏差原理に関して、それぞれ脳神経科学および数理工学を中心にする研究者向けに2012年12月に新学術領域「伝達創成機構」(津田一郎代表)全体会議および2013年1月にFIRST合原プロジェクト合宿研究会においてそれぞれ90分ずつのチュートリアル講演を行った。 課題2.点過程論を土台とした諸課題への応用:24年度に取り組むテーマとして挙げた(A)フィルとレーション付きフォック空間表現、(B)退化したギブス測度を巡る諸問題、(C)Dynkin同型他の3つについて研究を進めたが、まだ公表した成果はない。他方で、ある経緯でDiaconisたちのいうカットオフ現象に関して、少なくともEhrenfests模型の場合は、30年ほど前まで盛んに研究されていたカオスの伝播をもとにすると、その確率論的な意味が明確となることを発見した。カットオフ現象は、これまで表現論あるいは非可換フーリエ解析あるいはassociation schemeなどを用いて固有関数展開をし、それをもとに上下から評価することによって証明されていたものであり、その確率論的な本質は把握できていなかった。その発見については、2012年12月の確率論シンポジウムの招待講演として口頭発表した。本論文は準備中であるが、その概要は、数理解析研究所講究録に収録されて、公表される予定である。 なお、今年度は各地で個別の討論等は行ったが、ミニ研究会という形で参集を促すことは行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1については研究ノートを書き溜める作業を順調に続行している。課題2については、3つのテーマに関しては成果発表には至らなかったが、カットオフ現象とカオスの伝播の予期せぬ関係を発見しており、今後の研究の進展に寄与することを確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、各地の研究者との情報交換を行うとともに、進展状況に合わせてミニ研究会等を開催する。 なお、研究遂行上での問題点はとくに生じていない。
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