2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540191
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中西 敏浩 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00172354)
|
Keywords | タイヒミュラー空間 / 不連続群 / リーマン面 / 双曲幾何 |
Research Abstract |
位相有限型の曲面上の双曲構造の変形空間であるタイヒミュラー空間は曲面上の幾何的オブジェクトから定まる量(閉測地線の長さ,無限遠にまで延びるイデアル弧のラムダ長,測地線の交角など)の組によって座標づけられるが,そうした座標空間のなかでタイヒミュラー空間がどのように配置しているのかを知ることは(用いる座標によっては)困難な問題である。私たちは閉測地線やイデアル弧の長さを用いた座標系においてタイヒミュラー空間を定義する方程式系を求めることや座標系からタイヒミュラー空間の点(リーマン面)の一意化に関連するフックス群やクライン群を復元することを中心課題として研究を行った。その結果,方程式系の決定や群の生成系を復元するアルゴリズムを得ることに成功した。ただしタイヒミュラー空間の正確な配置を知るための半代数的構造を十分理解するまでには至っていない。 タイヒミュラー空間を代数的集合として実現することの応用として写像類群の作用を有理変換や代数的変換を用いて表現することがある。マルコフは,現在では一点穴あきトーラスの写像類群の応用と理解される,ある不定方程式の整数解の研究を行ったが,私たちは一般の穴あき曲面のタイヒミュラー空間を用いてマルコフの整数解のアナロジーが成り立つ方程式を多く得ることに成功した。その他,関連する結果としてMcShaneの(一つの)恒等式の別証明を与えることができた。
|
Research Products
(3 results)