2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540191
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中西 敏浩 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00172354)
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Keywords | タイヒミュラー空間 / 不連続群 / リーマン面 / 双曲幾何 |
Research Abstract |
有限型曲面のタイヒミュラー空間のトレースによる大域座標系について研究した.今年度の研究で得られた結果は,(g,m)型曲面のタイヒミュラー空間の大域座標系を与えるのに必要最小数である,すなわち,m>0の場合は6g-6+3m,m=0の場合は6g-5個のトレースを見つけ,さらにm=0のときは,それらがみたす関係式を具体的に見つけたことである.この結果はP.Schmutz,奥村善英,Feng Luoによって既に得られているが,私たちは一般のgについての6g-5個のパラメータの算出方法を明確に記述した.新しい結果としては、種数2の閉曲面の写像類群のタイヒミュラー空間上への作用が,7個のパラメータの有理変換のなす群として表現できることを示すことができた.穴あき曲面の場合はPenner座標を導入することによって,写像類群を有理変換のなす群で表すことができることが以前から知られていたが,閉曲面の場合はこのような結果が得られたのは初めてと思われる.その応用として種数2のタイヒミュラー空間を表わす7次元空間内の代数的超曲面が無限個の正整数解を許容することを発見した.この事例は,我々の研究が数論的フックス群や数論的クライン群の分類に大きな示唆を与えると期待しされる.他に,穴あき曲面のタイヒミュラー空間のPenner座標をSL(2,C)表現空間に拡張するために,その複素化について研究した.その成果として,単純イデアル弧のラムダ長がPenner座標を用いると,その位相的性格を反映した特徴的な表現をもつことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種数2の閉曲面の写像類群が有理変換のなす群で表わされるという新しい結果を示せた。曲面群の離散的SL(2,C)表現の表現については進捗が見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
タイヒミュラー空間の座標系を用いて写像類群を表現し,その力学系を研究することが目的であるが,計算が膨大なのでコンピュータを用いても望むべき結果を得られない。もっと効率のよい計算法を開発すべきである。グレブナー基底についての知識を習得する必要を感じている。
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Research Products
(5 results)