2012 Fiscal Year Annual Research Report
変数係数双曲型偏微分方程式のエネルギー減衰とその周辺
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22540193
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池畠 良 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10249758)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 波動方程式 / 分数巾 / 摩擦項 / エネルギー / 最良減衰率 / フーリエ変換 / エネルギー法 |
Research Abstract |
当該年度の交付申請時に記載の問題意識としては、①線形波動方程式のエネルギー減衰をその摩擦の強弱の効果との比較で議論すること、及び②空間遠方にて優臨界的な摩擦の影響のもと、対応する巾型非線形波動方程式の時間大域解の構築、ということであった。①については、分数巾型の摩擦項を持つ線形波動方程式について、ブラジル連邦共和国サンタカタリナ大学数学科の2人の研究者との国際共同研究によって、その対応するエネルギーの(ほぼ)最良な減衰率を導出するある上手いアイデアを確立し、実際にその摩擦の強弱を表す助変数に依存した時間無限大におけるエネルギー減衰率の発見に至った。この新しい方法の適用例の雛型である、分数巾型摩擦項を持つ線形波動方程式の初期値問題の、対応するエネルギーの(ほぼ)最良な減衰率の導出に関する直近の結果についての論文は、現在国際数学専門誌に投稿中である。この新しい方法は、極めて簡便な方法であり、分数巾型の摩擦の効果を考慮した一連の双曲型方程式の(ほぼ)最良なエネルギーの減衰率の導出に広く応用される可能性を秘めており、現在も彼らとの共同研究を継続中である。一方の①については、残念ながら今のところ顕著な研究結果は得られていない状態であり、関連する先行結果のレヴューを行うのみにとどまっている。特に、その空間遠方にて優臨界的に摩擦が効果的である場合は、かなりの難航が予想されることが分かったことがその成果であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の達成度は50%であろう。理由は、研究実績の概要にも記載したが、大きく2つの研究目的のうち、1つ(上記①)は、満足の行く結果の導出に至っているが、もうひとつ(上記②)については、その関連する先行研究のレヴューのみに終わっているからである。研究が当初の予定通りに進まないことは良くあることであり、これについては特に問題無い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策とやらについては、まず「研究実績の概要」にて記載した、分数巾型摩擦項を持つ波動方程式の(ほぼ)最良な減衰率の導出の際に開発した、新しい(改良型)フーリエ空間におけるエネルギー法の更なる応用例の発見を行い、それぞれについて論文を作成していくことになるだろうが、そのためには、件のブラジル人共同研究者との情報交換(主にメールによる)が重要な手段となってくる。実際に、現在共同研究を推進中であり、その成果が待たれる。これについての問題点は特に無い。一方、空間遠方にて優臨界的に減衰する摩擦項を持つ非線形波動方程式の時間大域解の構成については、問題それ自体の「難しさ」故に変更をする必要があるかも知れない。これについては、もう少し摩擦の効果を強めた「臨界的」な場合の対応する問題の解決のほうが先であるかもしれないが、それは25年度の課題の一つとしたい。
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Research Products
(4 results)