2012 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン面の正則写像の研究――写像の存在問題における把手の役割
Project/Area Number |
22540196
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
増本 誠 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50173761)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 雅和 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (70025469)
山田 陽 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60126331)
柳原 宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30200538)
幡谷 泰史 山口大学, 理工学研究科, 助教 (20294621)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 解析学 / 関数論 / リーマン面 / 正則写像 / 極値的長さ |
Research Abstract |
6月にアテネ大学(ギリシャ)で開催された第6回非線型解析学者世界会議において「リーマン面上の非線型問題」と題した分科会を主宰した。本研究課題からは幡谷,山田,増本の3名がそれぞれの研究成果を発表した。幡谷は,非有界領域における粘性流体の自由境界値問題を考察した。多くの微分方程式の解析性は,基本的な方程式の解析性に帰着されるが,そのような基本的方程式系の一つの解析性を報告した。これは,幡谷が以前に得ていた結果を補強するものである。山田は,ダグラスの定理を,再生核を持つヒルベルト空間論の枠組みで考察した成果について報告した。ダグラスの定理は,ヒルベルト空間の作用素の大小関係,割り算,値域の包含関係の間に密接な関係があることを示している。山田は,自身の成果の応用として,線型作用素に関するある線型方程式系が縮小作用素を解として持つための必要十分条件を得た。これは,補間問題において有用なパロットの定理の拡張となっている。増本は,種数正のリーマン面Yで,それの把手の一つを指定する単純閉曲線の対を固定したものが与えられたとき,同様の単純閉曲線対が指定された穴あきトーラスXで,XからYへの正則写像が存在するもの全体の集合Tについて考察した。Tは穴あきトーラスのタイヒミュラー空間の部分集合である。一般に,Xには,その太さを表す指標である基本的極値的長さと呼ばれる正数が対応する。増本は,集合Tに属するXの基本的極値的長さの分布について著しい特徴を見出し,その成果の一部を報告した。会議には参加しなかったが,柳原は,単位円板上の正則単葉函数の様々な族を対象に, 増大度評価や歪曲評価についての研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
穴あきトーラスから与えられたリーマン面の中への正則写像の存在について基本定理とも呼ぶべき結果を得て論文にまとめ,掲載の可否は未定であるものの,学術雑誌に投稿することができた。また,研究計画調書の段階から計画していた第6回非線型解析学者世界会議での分科会「リーマン面上の非線形解析」を成功裏に終えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
穴あきトーラスからの正則写像の存在に関する結果を応用して,一般のリーマン面間の正則写像の存在問題を考察する。
|
Research Products
(10 results)