2010 Fiscal Year Annual Research Report
滑らかな係数と精密な対角化による発展方程式解析の新たな展開
Project/Area Number |
22540197
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
廣澤 史彦 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50364732)
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Keywords | 偏微分方程式 / 波動方程式 / 非線形 / 変数係数 |
Research Abstract |
本年度は以下のテーマに関する研究を行った: (1)変数係数のKlein-Gordon型方程式の初期値問題に対するエネルギー評価の問題 この研究テーマに関しては、変数係数のKlein-Gordon型方程式のエネルギー評価に関して、最近興味深い成果を出しているフライベルグ工科大学のC.Boehme氏と共同研究を行った。Boehme氏の最近の研究は、特に単調な係数に対する特殊関数の性質等を用いた非常に精密な評価であるが、この係数にC^m,C^∞ class,更にGevrey classの滑らかさと、振動の効果を加えた場合の摂動問題について、係数の滑らかさに応じた精密な評価を得ることができた。 (2)振動する係数を持つ2階双曲型方程式のエネルギー評価 双曲型発展方程式の特別な場合であるの斉次2階双曲型方程式の初期値問題の解は、係数が振動する場合、それらの相互作用によるある種の共鳴や干渉の効果によって、単調な係数の場合には起こり得ない複雑な現象が起こる可能性がある。このような効果は、係数のC^2の滑らかさの特性を考慮した対角化によって取り出すことが可能であることが、これまでの研究により明らかになっているが、当時の技術で到達できたのは非常に限定された結果であった。本年度の研究では、ハノイ工科大学のB.T.Bao Ngoc氏とともに、係数のより高い滑らかさの効果と、最近の研究で確立されつつあるて新たな対角化の手法を導入することによって、2階双曲型方程式の解の安定性を規定する、より本質的と考えられる「高階のLevi条件」の概念を導入することによって、より精密な解の評価に関する結果を得ることができた。
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