2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540199
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神本 丈 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (90301374)
|
Keywords | ニュートン多面体 / 振動積分 / 漸近展開 / ベルグマン核 / セゲー核 / 特異点解消 / トーリック多様体 / バンピング |
Research Abstract |
ジェネリックな場合の解析を含む退化した場合の解析を行う際、ニュートン多面体の幾何学的な情報が非常に有用となってきていることは、国内外の研究をみて明らかであるが、この研究においても以下のような多くの成果を得た。一つは、複素解析、複素幾何において非常に重要なベルグマン核の挙動について、漸近展開の意味で、ニュートン多面体の情報を使って計算を行い、精密な成果を得た。その際、今までに得られてきた多くの複素解析学における研究の成果を用いた。もう一つは、調和解析学で重要な振動積分の挙動について、同様にニュートン多面体の情報を用いて解析を行った。これは、1970年代に得られたヴァルチェンコの結果の一般化、精密化になっているものである。具体的には、相関数のニュートン多面体のみならず、振幅関数のニュートン多面体を用いることで、漸近挙動が非常に正確に記述されることが解った。さらに、過去の研究では相関数は実解析的であることが必要であったが、その条件は自然に一般化され、無限回微分可能な関数のなすあるクラスにまで拡張されることが示された。その際に、特異点解消を構成する必要性が生ずるが、このクラスのトーリック特異点解消をしたという点で、非常に興味深い結果と言えよう。同様な、結果は局所ゼータ関数の極の分布に関しても得られている。この成果も、過去に得られているものと比較して非常に精密なものになっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ニュートン多面体を用いた解析への理解が非常に深まり、多くの成果を得ることができた。しかしながら、時間的な制約があり、具体的な応用は不十分であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、特異点論的な視点から、調和解析や複素解析の諸問題に取り組むつもりでいる。最近は、特に調和解析の振動積分の挙動について、より重点を置いて研究をすすめている。
|