2010 Fiscal Year Annual Research Report
変分問題、最適化問題および非線形偏微分方程式の解の構造の研究
Project/Area Number |
22540203
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
倉田 和浩 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (10186489)
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Keywords | 解析学 / 関数方程式 / 変分問題 / 非線形現象 |
Research Abstract |
1.エネルギーバランスのあるアレンカーン型の相安定な反応拡散方程式において環境効果によって、空間非一様な安定定常パターンの多重存在に関する研究成果をまとめたものを査読付き専門雑誌に掲載した。空間1時限での研究に比べ空間多次元での研究は少なく、環境効果によって起こりうる安定パターン(エネルギー極小解)を境界爆発解を比較関数として考えることで、よい劣解・優解の構成に成功したことは意義深いものである。 2.環境が時間とともに変動するような効果をもつ反応拡散方程式に対して、進行波解の存在問題を変分問題の観点から研究した。ロジスティック方程式の場合のBerestyckiらの研究の変分的アプローチともなっており、Berestyckiらが取り扱っていない双安定な非線形項を持つ場合のモデルに対して、進行波解の多重存在も示した。環境が一様である場合の進行波解の研究は、古くからあって1つの重要な研究分野となっているが、本研究で扱うような環境効果に依存した進行波解の研究はますます重要となっている。 3.亀裂発展問題に付随して現れる空間1次元の特異非線形項をもった変分問題のエネルギー最小解の構造について研究し、一定の成果が得られた。非線形項の特異性が強い問題のため、通常の変分法の手法の適用に工夫が必要となる点、意義あ研究となっていると思われる。 4.研究代表者と森本光太郎氏の共同研究で飽和効果を持ったギーラーマインハルト系パターン形成問題での手法を発展させ、ケモタキシス系のパターン形成数理モデルにおいて、境界凝縮解の存在問題を研究した。
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