2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田原 秀敏 上智大学, 理工学部, 教授 (60101028)
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Keywords | 複素領域 / 偏微分方程式 / 特異点 / 正則性 / 形式解 |
Research Abstract |
1. 無限変数の正則関数についての考察を行なった。有限変数の正則関数の一様収束の極限として得られる無限変数の関数を「有限型の正則関数」という。この有限型の正則関数族の中で物事を考えると、殆どの場合に有限変数の正則関数と同様の扱いが出来る。この立場から、「Coupling of two partial differential equationsの理論」を再構築し、以前の形式計算がちゃんとした微分積分論の枠内で正当化されることを示した。この内容は、東京大学大学院数理科学研究科での集中講義で詳述した。 2. 一昨年、昨年に続いて、非線型偏微分方程式の解のGevrey正則性の研究を行なった。昨年までは、Kowalevskianな方程式を扱っていたが、今回は、その結果をnon-Kowalevskianな方程式にまで拡張して論じた。これにより、Korteweg-de Vries方程式の時間変数に関するGevrey正則を扱ったHannah-Himonas-Petronilhoの結果を、一般論の中に吸収できた。議論のアイデアは、形式的べき級数解のGevrey型評価に関するMaillet型定理のアナロジーを、Gevrey級関数を係数とする偏微分方程式に応用しようというものである。 3. 形式解のBorel総和法の研究も行なった。従来のBorel総和法では、形式的べき級数解のみを扱っていた。しかし、非線型偏微分方程式には、多くの形の特異点を含む形式解が現れる。このような一般的な形式解に対してBorel総和法を適用することは、理論の発展上、不可欠の要請である。今年度の研究では、具体的な成果には未だ至っていないが、問題の状況は良く理解されてきた。
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