2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540206
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田原 秀敏 上智大学, 理工学部, 教授 (60101028)
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Keywords | 偏微分方程式 / 正則性 / 特異点 / 形式解 / 不動点定理 / 複素領域 |
Research Abstract |
1、非線型偏微分方程式の解のGevrey正則性の研究を継続して行なった。前回の論文(J. Math. Sci. Univ. Tokyo, 18 (2011), 67-137)では、non-Kowalevskianな方程式にまで問題を拡張して論じた。今回は、Kowalevskianな方程式ながら,正規型に整理されていない全くの一般の形で論じた。議論は、適当なGevrey級関数族での陰関数の定理を証明し、それを使って、問題を前回の結果に帰着することによってなされる。この結果は、論文として、RIMS Kokyuroku Bessatsuに掲載される予定である。 2、時間変数について正則、空間変数に関してGevrey級関数になっているような方程式に対して、その形式解の研究を行い、Maillet型の定理を得た。形式解のGevreyタイプの評価は、解のGevrey正則性の証明と類似の方法でなされた。Gevrey指数が1未満の関数は、指数型整関数に他ならない。従って、この方向の研究は、指数型整関数を初期値とするコーシー問題の形式解のボレル総和法の研究に直結してゆくことが期待される。 3、Dennis BACANI氏と共同で,特異点を持つ一階の非線型偏微分方程式で、方程式が空間変数には正則であるが、時間変数には連続性しか仮定されていない場合の研究を行った。これは、Lope-Roque-Taharaの論文(J. Anal. Appl. (ZAA)に掲載予定)の論文の一般化であり、Chen-Taharaの論文(Publ. Res. Inst. Math. Sci., 35 (1999), 621-636)の変形物である。今回は、時間変数と空間変数の両方に関して原点で確定特異点を持っている方程式を論じ、それに対して解の存在と一意性を証明した。解の存在は、不動点定理(縮小写像の原理)を使う方法によってなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gevrey正則性の研究が順調に進み、その応用として、指数型整関数の空間での偏微分方程式の扱いが可能になってきた。形式解のボレル総和法の研究、その解析接続の特異点の研究が視野に入ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
指数型整関数を初期値に持つコーシー問題の形式解のボレル総和法の研究に進んで行きたいと考えている。また、特異点を持つ一階の非線型偏微分方程式で、空間変数に関して不確定特異点を持つ場合の解の存在と一意性にも研究の輪を広げてゆきたい。
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Research Products
(3 results)