2011 Fiscal Year Annual Research Report
平面閉曲線の曲げエネルギーに対する複数の制約条件の下での勾配流の解析
Project/Area Number |
22540219
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長澤 壯之 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70202223)
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Keywords | 変分問題 / 勾配流 / 制約条件 / Lagrangeの未定乗数 / 曲げエネルギー |
Research Abstract |
複数の制約条件を持つ変分問題に付随する勾配流を考察している。制約条件を持つ変分問題は、通常、ラグランジュの未定乗数法が用いられるが、複数の条件が独立でなくなるとき、未定乗数が一意に定まらなくなり、解くべき方程式が定まらなくなる。これを条件の退化と呼ぶ。そこで、未定定数が表面に現れないように問題を制約条件から定まる接空間への射影を用いて再定式化して解析する。Projected Gradient Flowと呼ばれるものである。 本研究では、平面閉曲線の曲げエネルギーに、曲線の長さと囲む面積を制約条件とする変分問題の勾配流を研究していた。勾配流において、初期時刻で制約条件が非退化である場合に、時間発展に伴い、有限時間内に条件の退化が起こり得るのかという問題は、有限時間内に曲率の爆発が起こり得るかという問題と関連する事と考えるに至った。 爆発現象は、次元に左右されると考えられるため、超曲面の曲げエネルギーに関する同様な条件付勾配流についても考察を拡張した。Projected Gradient Flowにより問題を再定式化し、局所解の存在と一意性を示した。これは、平面閉曲線の場合を含むもので、局所存在と一意性に関しては、これまでの結果を含め整理された形になった。2つの論文としてまとめ、その一方は、掲載が決定した。 超曲面の勾配流の大域解または爆発については、そのままでは解析が困難である事が予想される。そのため、初期超曲面が一般化された回転面の場合について考える事とした。時間発展しても一般化された回転面であると仮定して、方程式を導出したが、大域解の存在または爆発の有無については、結論には至っていない。与えられた関数を平均曲率に持つ一般化された回転面について考察し、すべてのタイプについて肯定的な結果を得た。2つの論文にまとめる方針で、一方は既に投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
勾配流の時間発展に伴い、有限時間内に複数の条件が退化するか否かを考察していたが、それを直接示す事には至っていない。そこで発想を変え、有限時間内に条件の退化が起こるとすれば、解はどのような挙動を示すかという点から考察し、条件の退化と解の爆発と関連があるという考えに至る事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
解の爆発現象が起こるか否かを検証したい。そのため、曲線に限らず、曲面や超曲面に対する同様の勾配流を考える。爆発を起こすのは、2次元以上の勾配流に限ると思われるが、それを検証する。数値実験を、数値解析の専門家に依頼している。爆発解の有無や挙動についての情報が得られると期待される。
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Research Products
(6 results)