2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540220
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渚 勝 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50189172)
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Keywords | 作用素空間 / 数域半径 / シュアー積 / 作用素環 / 単元生成 / 完全正写像 / 完全有界写像 |
Research Abstract |
作用素空間の議論を軸に、作用素環の持つ非可換性の構造を調べることが研究の大きな目標である。抽象的な対象ではあるが、その中でも可換+行列のように構造が見やすいもの、有限近似的C*-環などは、細かな議論ができる対象であり、最近では可換+行列の帰納的極限のC*-環の構造解析も進んである。この方向の研究の発展も視野に入れ、実施計画に基づき、連携研究者の松井氏や、立命館大学の佐藤氏から情報収集を行った。作用素空間としての構造を調べる点については、連携研究者の伊藤氏と議論を進めているが、この話題に関連した以前の共同研究のシュアー積について、より詳しい性質や、構造について明らかになってきている。一部は形になっていると認識しているが論文という成果の形にはなっていないので、これは次年度の作業として継続中である。また、近似的C*-環やグラフC*-環のシュアー積についても発展の可能性を感じており、インドネシアのRizky氏らとの共同研究をすすめている過程である。 作用素空間に数域構造を設定することは自己共役性との位置の関係につながるというのが、基本の考え方であり、一つの作用素の構造の把握という視点になると考えている。この方向で連携研究者の和田氏と多くの議論を行い、いくつかの命題に新しい証明を与えることができたが、論文という形の成果にはまだ至っていない。また、一つの作用素から生じる環という視点もあり、これは奈良高專の市原氏と議論をすすめている。 今年度は、成果を形にすることができなかったが、多くの事実のつながりや、いくつかの新しい知見を得られたので、次年度に形としてまとめるよう研究を進展させている。
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