2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540220
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渚 勝 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50189172)
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Keywords | シュアー積 / 作用素空間 / 完全正値 / 完全有界 / 作用素単調関数 / ペッツ長谷川の関数 / 量子状態空間 / 単調距離 |
Research Abstract |
Banach空間の行列ノルム構造の研究として、行列構造とシュアー積の関係から、シュアー積による行列の対角性つまり像の可換性の特徴付けを研究協力者の伊藤隆および、インドネシアの研究者との議論もすすめながら発展させた。シュアー積と通常の積との条件で特徴付けるが、とりわけ無限次元の作用素(行列)にも適用可能であることが得られた。公表論文の形のプレプリントを用意しているが、現在、関連するいくつかの命題について検討を続けている段階である。 量子状態の解析として、エントロピーなど距離に相当する概念と正値性との関わりは、重要な研究対象である。これについて、モロゾワ、ツェントフによる距離構造のペッツによる作用素単調関数による特徴付けがあり、距離を与える関数の判定が作用素単調関数の言葉で判定される。ペッツによりいくつかの関数が、判定されているが、作用素単調関数の理論は、数学的に複素関数論の枠組みでの把握があり、その性質に着目することにより作用素単調関数の判定方法を大幅に改良することが可能になった。つまり、量子状態空間にモロゾワ、ツェントフの意味での単調距離を数多く導入することができる。また、作用素単調関数に付随する対象作用素平均にも応用が見出せる。この成果はこの年度末に形になったもので、これから公表をすすめることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子状態空間と正値性の切り口をいろいろ模索していたが、未公表ではあるが作用素単調関数の判定が大幅に見やすくなったことによって、従来とは状況の変化が生じていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、新たな切り口から量子状態空間の距離と作用素の性質など、数理物理と絡んだ話題の情報収集を考慮している。とくに作用素に関しては距離の導入について、海外の研究が活発なので、その動向を調べることに留意している。
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