2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 健志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10262255)
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Keywords | ディラック方程式 / 臨界点理論 / 非コンパクトな変分問題 / 超対称性シグマモデル / 共形はめ込み |
Research Abstract |
ある種の非線形ディラック方程式は、スピノルの空間上の変分問題として定式化できる。これはモース指数が無限大の変分問題であり、更に(非線形項によっては)非コンパクトな変分問題でもある。この様に、非線形デッラック方程式に付随する変分問題は、無限次元に特有の2つの性質(モース指数無限大・非コンパクト性)を併せ持つ。更にこのタイプの非線形ディラック方程式は、超対称性を持つシグマモデルや超曲面の共形はめ込み(スピノル版のワイエルストラス表現定理)としても登場する興味深い対象である。 今年度は、スピン多様体上の非線形ディラック方程式を比較的簡単な場合に詳しく調べ、非自明な解の存在を関数解析的な変分法の観点から研究した。得られた成果は次の通りである。 1)コンパクトなスピン多様体上の、劣線形および優線形かつ劣臨界指数の非線形ディラック方程式に付随する変分問題を研究し、解の存在定理を証明した。特に非線形項がスピノルに関して奇関数の場合、解が無限個存在する事を示した。 2)コンパクトなスピン多様体上の臨界指数の増大度を持つ非線形ディラック方程式に対して、それに付随する変分問題のPalais-Smale列の大域的コンパクト性定理を証明した。次にこれを用いて、ある種の臨界増大度の非線形項を持つディラック方程式に対して、それの双対変分問題のmountain pass構造を調べ、非自明な解の存在を多様体の次元が4以上の場合に証明した。更に、弱解の正則性に関して、最も自然なクラスの弱解が滑らかな古典解になるという結果を得た。
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