2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540222
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 健志 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (10262255)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | デッラック方程式 / 変分問題 / 山辺問題 / ソボレフバンドル |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、変分問題として定式化される非線形ディラック方程式の解の存在を研究した。その中でも、特にスピノル版山辺問題の解の存在に関して研究した。昨年度までの研究で、3次元を除く2次元以上の球面上のスピノル版山辺方程式は、ポテンシャル関数が定数に十分近い場合、ポテンシャル関数に関する「指数数え上げ条件」の下で非自明な解をもつことを示していたが、3次元の場合は他の次元に比べて弱い結果しか証明できていなかった。今年度は、3次元の場合にも「指数数え上げ条件」の下で解の存在を証明することを目標に研究した。そのために、Conley 指数理論に基づく新たな手法を開発して、3次元の場合にも、技術的な付加的条件を加えると「指数数え上げ条件」のもとで解の存在が証明できることがわかった。この付加的条件が取り除けるかどうかに関しては、現在も考察中である。 本年度はスピノル版山辺方程式の他に、アーベル群を構造群に持つソボレフバンドルの解析的性質とトポロジーに関しても研究した。ソボレフの弱・強位相に関する滑らかなバンドルの解析的完備化の性質とその位相的性質をある場合を除いて、ほぼ決定できた。また、弱位相に関するコンパクト性定理を証明し Yang-Mills 汎関数の最小値の存在をソボレフバンドルのクラスの中で証明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピノル版山辺方程式に関しては、一般的な状況のもと、解の存在条件を決定することを目標に研究している。本年度までの研究で、ポテンシャル関数が定数に十分近い場合にはある程度満足できる存在条件を見つけることができた。これは最終的に目指している結果にはまだほど遠いものではあるが、一般的な場合の存在条件を見つける上で大切なステップになると考えているので、その意味において研究はおおむね順調に進展しているのではないかと思う。
|
Strategy for Future Research Activity |
スピノル版山辺方程式に関しては、解の存在条件を、一般的な状況下で見つけること目標にする。そのためには今までの摂動論的枠組みを超えた変分法的手法を開発する必要がある。様々な位相的な手法やモース理論的方法を試みるつもりである。 ディラックー調和写像に関しても、今後研究を進める予定である。この問題に関しては、昨年までに、変分法を用いて、1次元の場合においては最初の存在定理を証明できた。今後は2次元の場合に存在問題を考察する計画である。この変分問題はモース指数が無限大という意味で強不定値型の変分問題であるため、調和写像で用いられた手法が使えない。1次元の場合は無限次元の絡み目に基づく臨界点理論を用いて証明できたが、2次元以上では、新たにコンパクト性の問題が生じてこれが今のところ上手く機能しないように見える。この部分をどうやって克服するかが今後の課題である。
|
Research Products
(3 results)