2010 Fiscal Year Annual Research Report
Delayed Feedback 制御法の解析における理論的枠組みの構築
Project/Area Number |
22540223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 倫子 静岡大学, 工学部, 准教授 (40244660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 敏機 電気通信大学, その他部局等, 名誉教授 (60004446)
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Keywords | Delayed Feedback制御法 / 周期軌道 / 安定性 / 時間遅れをもつ微分方程式 / フロッケ理論 |
Research Abstract |
PyragasタイプのDelayed Feedback制御法(以下DF制御と呼ぶ)について,各状態変数一様に自己フィードバックをかける(ゲイン係数が単位行列の実数倍)という前提のもとで,DF制御成功の可否を決定する条件を数学的に証明するとともに,数値計算による応用例を提示した(SIAM J.MATH.ANAL.Vol.43,No.3,pp.1122-1144).特に,応用例として提示したレスラー方程式への適用例は,1入力フィードバックを採用したPyragasによる数値例と,同一とみなせる周期軌道の安定化に成功している.また,同時に,時間遅れを含む微分方程式の周期解の安定性を解析するために必要な,基礎的な数学的理論も同時にまとめ上げている. 従来のDF制御法の成功例は,数値シミュレーションで提示されるにとどまっているものがほとんどであり,理論的裏付けが希薄であった.しかし,本研究における結果は,限定的な条件下ではあるが,DF制御法が実際に有効であることを理論的に裏付ける結果として非常に有意義なものである. 時間遅れを含む微分方程式の周期解の安定性解析の基本的アプローチとして,時間遅れをもつ線形の周期系微分方程式の安定性理論が有効であるが,無限次元作用素のスペクトル理論をベースとしているため,実際に応用するという観点では,なかなか困難な部分が多い.上述の論文では,応用という観点で,必要最低限の知識を抽出して提示しており,今後この分野で解析を行う研究者への一助となることが期待できる.
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