2011 Fiscal Year Annual Research Report
双直交関数系および離散・超離散可積分系の研究とその応用
Project/Area Number |
22540224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 諭 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60287977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 佳正 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)
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Keywords | アルゴリズム / 応用数学 / 数理工学 / 可積分系 / 直交多項式 / 量子力学 |
Research Abstract |
理論と応用をつなぐ重要な役割を果たしている直交多項式をはじめとする特殊関数は、可積分系における基礎方程式の一つである戸田格子と密接な関係を有していることはよく知られている。さらに最近の研究の中で、種々の直交性および双直交性を有する多項式や有理関数についても対応する可積分系が次々と明らかになっている。 最近の特殊関数に関連する話題の中で、古典直交多項式の一般化である楕円超幾何関数12V11は特に重要であり、種々の性質に明らかにすることが求められている。本研究では,これまでに累積されてきた双直交関数系および離散・超離散可積分系に関する理論研究とその応用を具体化するために、特に古典性を有する直交関数系について、離散可積分系理論を用いて解析を進めることで以下の成果を得た。 1.【歪直交多項式の離散スペクトル変換に付随する離散可積分系】パフィアンで表される歪直交多項式に対して、直交多項式において有用であったクリストッフェル変換を導出し、そのコンパクトな表現を与えた。さらに、逆変換も導入することで対応する離散可積分系を与えた。この離散系は、Pfaff格子の離散類似を与えている。 2.【Bannai-Ito多項式の解析】これまであまり直交多項式として議論されることがなかったBannai-Ito多項式の古典直交多項式としての様々な性質を明らかにした。 3.【パデ補間とパンルベ方程式】楕円超幾何関数12V11を要素として持つ行列式の比で表される有理関数に対応するパデ補間を明らかにすることで、楕円パンルベ方程式の特解を与えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、双直交関数系に関して、可積分系の解析手法て"ある廣田のタウ関数を組織的に導入することにより、様々な成果が得られている。歪直交多項式、楕円超幾何関数など特に重要な関数系を取り上げて、可積分系やパンルベ系との直接的な関係について明らかにすることに成功している。また、数値計算アルゴリズムなどへの応用であるが、現在までのところ、理論の進展に合わせて基礎的理論を構築している。ここでは、箱玉系と双直交関数系との関係が明らかになっており、実際に一般化固有値問題などとの理論的な対応関係に関する理解が深まった。以上の成果を総括するとおおむね順調に研究計画は進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの本研究にて蓄積されてきた双直交関数系およひ"離散・超離散可積分系に関する理論研究をさらに発展させ、その応用を具体化することが今後の方針である。この方針を具体化する方策として、まず、双直交関数系の理論を古典的な直交多項式の一般化としての例外型直交多項式、1型直交多項式、多重直交多項式について代数的、固有関数なと"廣田のタウ関数の観点から研究をすすめていく。さらに、双直交関数系に付随する超離散可積分系の理論から、対応する数値計算アルゴリズムを定式化し、数値実験などを通じて汎用的なツールの構築を目指す。
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Research Products
(4 results)