2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しいタイプの非線形分散波動方程式の初期値問題に関する研究
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22540228
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松野 好雅 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30190490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 哲 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00131376)
増本 誠 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50173761)
岡田 真理 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40201389)
柳原 宏 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30200538)
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Keywords | 非線形分散波動方程式 / 厳密解法 / ソリトン / 多成分可積分方程式 |
Research Abstract |
本年度の研究においては応用上重要であるが従来から研究がさほど進展していない多成分可積分非線形分散波動方程式に焦点を当て、以下の研究成果を得た。 1.光ファイバー中を伝播する短パルス方程式の多成分化 光ファイバー中の非線形波動(ソリトン)の伝搬特性は非線形シュレーディンガー方程式で記述できるが、極めて短い波動の伝播においては左記方程式の導出の前提である緩慢変化包絡線近似が成立しない。これに代わりいわゆる短パルス方程式が提案された。この方程式は直線偏光の電場の変化を記述するが、円偏光や楕円偏光等のより現実的な場合には多成分化が必要となる。本研究では可積分な多成分短パルス方程式を提案し、ソリトン方程式の厳密解法の一つである直接法を用いて多重ソリトン解のパラメータ表示を得た。非線形シュレーディンガー方程式の場合と異なり、解の構成要素は行列式ではなくパフィアンで表されるという著しい特徴がある。解の証明は行列式の基本的な公式、とりわけJacobiの恒等式を用いて初等的に行った。さらに2成分系については詳細な検討を行い、ブリーザーと呼ばれる解の特性について新たな知見を得た。 2.多成分微分型非線形シュレーディンガー方程式 宇宙空間中の非線形アルフヴェン波や、単一モード光ファイバー中のパルス伝播を記述する微分型非線形シュレーディンガー方程式の研究に関してはこれまで多くの成果が得られているが、この方程式の多成分化については最近の重要な研究課題となっている。本研究においては任意成分を有する微分型非線形シュレーディンガー・方程式の可積分な一般化を行った。1成分の場合と比較して、解の構成は複雑であるが、直接法により行列式による多重ソリトン解の表示を得た。解は無限遠方で零となるいわゆるBright solitonである。無限遠方で零と異なる境界条件を満たすDark soliton解の構成については現在研究が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究課題である新しいタイプの非線形分散波動方程式の研究に関し3編の論文を国際的な専門誌に発表することができ、当初の目的はおおむね達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をふまえ、とりわけ非線形シュレーディンガー方程式に関連した方程式の可積分な一般化の研究に取り組む。具体的には多成分微分型非線形シュレーディンガー方程式のDark soliton解の構成、及び解の漸近特性の研究、Fokas-Lenellsの微分型非線形シュレーディンガー方程式の多成分化、及び解の構成等に焦点を当てて研究を遂行する。
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Research Products
(4 results)