2012 Fiscal Year Annual Research Report
極小曲面論並びに関連する幾何学的変分問題における特異点と均衡条件
Project/Area Number |
22540232
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
加藤 信 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10243354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 太 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10374901)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多様体上の解析 / 極小曲面 |
Research Abstract |
三次元 Euclid 空間の埋め込まれた end のみを持つ有限全曲率完備極小曲面、いわゆる n-noid について、種数が 1 の場合に、これまでほとんど例の知られていなかった、 Gauss 写像の極と end の完全代表系の総和が一致するクラスにおいて、さらに新しい例を具体的に構成した。研究のこの部分は、室谷文祥氏との共同研究によるものである。 一方、種数が 0 の場合について、end の個数が 4 である場合において、その安定性を計る指標である index と nullity につき、新たな結果を得た。より具体的に述べれば、 generic な場合については、Ejiri-Kotani, Nayatani, Montiel-Ros による先行結果により、既に精確な値が知られていたが、本研究においては、 generic で無い場合についても、 Gauss 写像となる各有理関数に対して、 index と nullity の値を決定した。また具体的にどのような曲面がそれに対応するのかについても、非自明な例を新たに与えた。これら非自明な例の特徴は、本研究において特に重要な役割を果たす flux の配置の特殊性にあり、そのことが、一般的に index と nullity とどのような関連性を持つかは、未だ定かではないが、今後の研究の一つの方向性を示すものとして、重要と考えられる。研究のこの部分は、立道康介氏との共同研究によるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種数が 1 の場合については、定式化を完了したことと、それを用いて新しい例を多く構成し、崩壊する連続変形族を観察、各クラスにおいてどのような極限曲面が現れ得るか、多くの具体的な情報を得た。 また、種数が 0 の場合について、index と nullity につき新たな情報を得ることにより、解空間の generic でない点およびその近傍における構造が、これまでより具体的に見えるようになったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
実績欄にも記した、種数 0 で end の個数が 4 である場合において、その安定性を計る指標である index と nullity につき得られた結果を、end の個数が 4 より大きい場合に一般化し、また、より多くの非自明な例を構成し、それらの特徴付けを行う。また、それとも関連付けながら、種数 0 の場合の解空間の分析をさらに推し進める。 種数 1 の場合についても、より対称性の低い例を構成することにより、引き続き崩壊現象の分析を進める。
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