2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540233
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
石崎 克也 日本工業大学, 工学部, 教授 (60202991)
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Keywords | 差分方程式 / テーラー展開 / Nevanlinna理論 / Wiman-Valiron理論 / 複素力学系 / 複素振動 / 整函数論 / 有理型函数論 |
Research Abstract |
22年度に引き続いて,複素平面上で有理型函数を解に持つ函数方程式の研究を行いました。複素微分方程式論で成立する線形方程式とRiccati方程式の関係について,更なる研究を進めました。また,線形q-差分方程式の解の存在を示すための道具として,位数の低い有理型函数の増大度とテーラー展開の係数との関係について調べました。それぞれを以下に述べることにします。 2階同次線形差分方程式の一般解を求める方法に,差分Riccati方程式の解を利用する方法があります。 微分Riccati方程式の場合は,1つの有理型解がわかったとしても他の解を有理型の範囲で記述できるとは限りません。しかしながら,差分Riccati方程式の場合には,1つの有理型解を利用して,周期函数を係数とする属を構成することができます。22年度では,係数として有理関数を主に取り扱いましたが,今年度は,超越的有理型函数の場合も含め取り扱いました。 線形q差分方程式の超越的有理型解は,増大の位数が零であることが知られています。古典的な結果として,増大の位数が正の場合については,整函数のテーラー展開の係数で記述される極限値と位数との関係式があることが知られています。今年度の成果として,位数が零の整函数に対しても,対数位数とテーラー展開の係数で記述される極限値との間に関係式があることを示しました。審査中の論文の中では,線形q差分方程式の超越的有理型解の取り扱いを一つの例に挙げてとりまとめをしました。また,位数零の整函数の型(type)についても,対数型とテーラー展開の係数との間に関係式があること示しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複素微分方程式論において成立する性質の差分作用素の対応部分についての研究と,位数の小さい超越的整函数の値分布論的性質の研究に関して,併せて3本の学術論文にまとめるなどの作業が完了しています。値分布理論で現れる除外区間についての評価と複素力学系への応用の部分に課題が残されています。
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Strategy for Future Research Activity |
位数の小さい超越整函数の評価式における除外区間の扱いと,複素力学系への応用については,国内外の研究協力者に助言をいただくなどの措置をとる予定であります。また,Gamma函数などの函数方程式(差分方程式)を満たす特殊函数の複素力学系的性質については,Mathematicaなどの数式演算ソフトによって,力学系の振る舞いを可視化するなどの考察を行いたいと考えています。
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Research Products
(3 results)