2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540241
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
高木 太一郎 防衛大学校, 応用科学群, 准教授 (00531766)
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Keywords | 可積分系 / セルオートマトン / トロピカル幾何学 / 超離散化 / 結晶基底 / 戸田格子 |
Research Abstract |
本研究の目的はアフィン・リー代数に関連した周期的可積分セルオートマトンを構成し、その等位集合の構造を解明することである。平成23年度の研究成果は以下のとおりである。 1.可積分セルオートマトン(箱玉系)の過去10年間の研究結果を詳しく調べ直し、記号や用語の不統一などを修正し、現在の視点から見てその内容がより明確になるような定式化を行った。その結果をレビュー論文として出版した。 2.可積分系の文脈における超離散化の概念の精密化を得た。すなわち「トロピカル化」と「(狭義の)超離散化」の区別を明確化した。前者は必ずしも従属変数の離散化を意味せず、有理写像を区分的線形写像に変えるものである。この精密化は超離散周期戸田格子と呼ばれている力学系(トロピカル周期戸田格子)と周期箱玉系との区別を明確化し、前者については可換なフェイズフローの構成がいまだに成されていないという事実を明らかにしたという点で重要であると考えられる。 3.前項の帰結として、超離散可積分系をトロピカル可積分系の特殊化とみなす視点が本研究の目的遂行のために有望であるという考察に到達した。 4.トロピカル周期戸田格子の可換なフェイズフローを、周期箱玉系の場合の構成法および量子群の結晶基底の概念の一般化により構成可能であるという予想を得た。ハミルトン系におけるアーノルド・リウビルの定理の証明から推測されるように、フェイズフローは等位集合の構造の解明につながる重要な鍵であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ランクが高い場合のアフィン・リー代数に関連した周期的可積分セルオートマトンはその構造が複雑であり、さまざまな解析を試みたもののその等位集合に関する予想の証明を完成させることはできなかった。使える手法がないか、いくつかの研究会に参加して他の研究者との研究情報の交換を行ったが、あまり良いアイデアが見つかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績に述べたように、超離散化の概念が精密化された。これにより、問題は超離散可積分系を特殊ケースとして含む「トロピカル可積分系」の等位集合の大域構造を解明することに帰着されたように思われる。少なくともA型と呼ばれる場合については、アフィン・リー代数に関連した周期的可積分セルオートマトンを(ランクについて一般化された)トロピカル周期戸田格子の特殊ケースとして取り扱うという方針が有望であると考えられる。そのため、当初の研究計画は変更し、まずは(ランク1の)トロピカル周期戸田格子について、その等位集合の大域構造解明につながると考えられる可換なフェイズフローの構成法を完成させることをめざして研究を推進したい。
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Research Products
(4 results)