2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 秀和 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (00282814)
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Keywords | ダスト微粒子 / 原始惑星系円盤 / 微惑星 / 惑星形成 / ダストアグリゲイト / ダスト衝突 |
Research Abstract |
ダスト衝突数値計算に基づいた衝突合体・圧縮モデルを質量比のついた衝突に拡張し論文にまとめ投稿した(Suyamaeta1.投稿中)。また、惑星形成理論におけるダスト直接合体成長による微惑星形成に関する第一論文を投稿した(Okuzumi et al.投稿中)。内容は、上記の開発されたダスト衝突数値計算に基づいた衝突合体・圧縮モデルを用いて内部密度進化を記述し、円盤内ダスト落下も考慮して行った、原始惑星系円盤内におけるダスト直接合体の計算についてである。この計算においては、前年度検討したダストの負電荷帯電による静電反発効果はとりあえず無視した。計算結果によると、衝突圧縮が非効率的であるため、ダストは10万分の1g/cm3程度の極低密度の天体へと成長することが示された。このような極低密度のおかげで従来問題であった中心星への落下効果は抑制されて、中心星から10AUの距離まで微惑星が形成されることも明らかにした。10AU以遠の大量のダスト個体成分の一部が10AU以内で微惑星と成長するため、微惑星面密度の大幅な増大も見られた。第一論文では初期円盤のモデルとして林モデル型のもののみを扱ったが、今後、様々な面密度分布をもつ円盤に対しての結果をまとめて、それによる微惑星形成領域や微惑星面密度分布に対する依存性を明らかにする必要がある。ダストの負電荷帯電による静電反発効果についても今後取り入れる。これは、円盤百AU以内の領域においてダスト成長を遅れさせる効果がある。原始惑星系円盤における微細なダストの天文観測結果との比較においてはこの効果が重要になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたように、ダスト衝突数値計算に基づいて内部構造進化を記述した、ダスト直接合体成長による微惑星形成モデルの基本的な部分を完成させることができた。初期円盤モデル依存性や、ダスト静電反発効果を調べることが残されている。本研究で形成が予言された極低密度の天体の衝突以外による圧縮過程の可能性についても今後検討することが必要であろう。
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Strategy for Future Research Activity |
ダスト直接合体成長による微惑星の形成領域や微惑星面密度分布に対する、円盤モデル依存性や、ダスト静電反発効果を調べる。極低密度の衝突以外による圧縮過程の可能性についても検討を開始する。
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Research Products
(12 results)