2010 Fiscal Year Annual Research Report
階層的巨大ブラックホール形成とファイナルパーセク問題
Project/Area Number |
22540243
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早崎 公威 京都大学, 理学研究科, 研究員 (30374218)
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Keywords | ブラックホール / バイナリーブラックホール / 階層的構造形成 / 重力波放射/電磁放射 / 母銀河と巨大ブラックホールの共進化 |
Research Abstract |
銀河は、合体を繰り返し成長するという階層的構造形成シナリオに基づいて進化してきたことは良く知られている。しかし、合体銀河の中で巨大ブラックホール同士がどのように進化するのかはいまだによく分かっていない。そこで、近傍活動銀河中心核に占める合体直前のバイナリーブラックホールの割合を理論的に予想するというタイプの研究を行った。また、そのようなバイナリーブラックホールからの放射光はどのようなものなのかを研究し、下記の成果を得たので報告する。 1、 巨大ブラックホール合体過程と近傍活動銀河中心核におけるバイナリーブラックホールの質量関数 本研究では、ブラックホール同士の合体過程における問題点を明らかにし、ブラックホールとその周囲のガス、特に自己重力円盤との相互作用によってバイナリーの軌道減衰を促す理論モデルを提案した。また、このモデルとX線によって観測されている近傍活動銀河中心核の質量関数から、軌道周期が10年以下のバイナリーブラックホールが近傍活動銀河中心核全体に占める割合は1-2%になることが分かった。 2、 ブラックホール合体前の高エネルギー放射 巨大ブラックホール同士の合体時に放射される重力波の電磁波カウンターパートとしての予兆光や残光はいくつかのモデルが提案されているが、今回は、バイナリーブラックホールとその周囲のガス円盤(外周円盤)との相互作用によって形成される降着円盤からの放射光に注目する。バイナリーブラックホールの軌道収縮がある段階に達すると、降着円盤は移流優勢円盤になり、高エネルギー電子によるシンクロトロン放射を示し、その光度はエディントンの数%に達する。本研究では、それぞれの降着円盤からのシンクロトロン放射光の重ね合わせによって特徴的なライトカーズを示すことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)