2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540246
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 秀之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60447357)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
|
Keywords | 超新星 / 電子捕獲型超新星 / 大質量星 / 元素合成 |
Research Abstract |
本年度は順調に研究が進み、本研究の主目的である電子捕獲型超新星の親星モデルの計算に成功し、その結果を査読誌に投稿しアクセプトされた。この親星の計算は過去30年近くなされていなかったものであるが、それは電子捕獲に伴う発熱、吸熱反応やそれに伴って発生する対流の取り扱いを慎重に行うことや、進化の最終段階の爆燃波の伝播の計算を行うための工夫など、通常の恒星進化計算とは異なる複雑で困難な課題を幾つも乗り越えなければ信頼できる計算が行えないためであろう。今回新しい電子捕獲率等の更新された物理を導入して計算を行えた事は、超新星爆発および元素合成理論の進展にとって非常に意義のあるものである。この計算では過去の計算よりも多くの電子捕獲反応を導入して計算を行ったが、その効果はあまり大きくなく最終的な星のコアの質量も含め、過去の結果をよく再現できたと言える。しかし過去の計算結果との顕著な違いも得られた。最も大きな違いは爆発直前の星の中心部での電子捕獲率が新しいものを用いると大きな値を取ることであろう。その結果、重力崩壊の起きる時期が早まり、爆発の仕方に影響を及ぼす可能性があることがわかった。 本年度は、この結果を活用し研究を更に進めるために、第一原理的な超新星爆発計算を行う準備も始めた。具体的には、ニュートリノ機構による超新星爆発計算を行っているグループとの共同研究を始め、彼らのコードに改良を加える事により電子捕獲型超新星爆発の計算を行える環境を整える準備を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は順調に研究が進み、本研究の主目的である電子捕獲型超新星の親星モデルの計算に成功し、 その結果を査読誌に投稿することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により電子捕獲型超新星の親星モデルの構築は一定の成功を収め、結果を査読論文に投稿中の段階にある。そこで本年度は計画を更に進めて、このモデルが実際に超新星爆発を起こすのかどうか詳しい計算をおこなって確かめる。先行研究としては、30年近く前に計算された親星モデルを用いて計算をおこなった例が一つあるだけであるが、それはまた、第一原理に基づきニュートリノ輸送を厳密に解いた球対称の計算で超新星爆発が実際に起きた唯一の成功例ともなっている。そこで本研究でも第一原理に基づく超新星爆発計算をおこなう。 また、これまでは電子捕獲型超新星の親星として最も重いものに対応したものであったが、O-Neコアの成長速度の違いによって多少異なった質量、または物理状態の親星が形成される可能性がある。この違いにより爆発時の中心部の中性子過剰度や爆燃波の発達に違いが現れて異なった性質の爆発となる可能性がある。そこで、本年度の研究では異なった条件での親星モデルを構築し、それの爆発シミュレーションもおこなって違いの有無も明らかにする。
|
Research Products
(8 results)