2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540248
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 一朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10311169)
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Keywords | 多層膜反射鏡 / 紫外線天文学 / 極端紫外光 / EUV |
Research Abstract |
成膜装置で単層膜を作り、その反射率特性から光学定数(n,k)を導出し、再現性を確認した。やはり、今回使用する装置で成膜したY2O3薄膜と文献値の光学定数には大きな違いがあり、 @30.4nm,n=0.80,k=0.14(実測) <-> n=0.77,k=0.21(文献値) @58.4nm,n=1.03,k=0.49(実測) <-> n=1.04,k=0.54(文献値) であることが分かった。さらに、Y2O3結晶は、蒸着する際に用いるスパッターガスのエネルギーに依り組成比が変化する。その結果、光学定数(n,k)も大きく変化することも理解した。新たに求めた光学定数に基づき多層膜反射鏡を製造し、較正してみた。 反射率特性は、波長に対する反射率の変化を測定する(反射率vsλ)代わりに、2d=m(λ/cosθ)の法則を考慮し、入射角(θ)に対する反射率の変化(反射率vsθ)を調べた。較正に用いた波長(λ)は30.4nm(又は、58.4nm)である。SiC/Mg多層膜(設計値と試作品の実測値)波長30.4nmにおける反射率の計算値(2d=18.08,r=0.3,N=40)と実測値は非常によく一致した。従来から広く使われているMo/Siよりも、λ=30.4nmにおける反射率を約2倍(約35%)に高めることができた。Y2O3/Alの試作結果は、計算値(2d=17.0,r=0.3,N=20)に非常に近い反射率を達成することができた(27%)。SiC/Mg反射鏡に比べると、30.4nmにおける反射率は劣るが、58.4nmに対する反射率の比は非常に高いことがわかる。以上の結果を欧米の研究者と議論したところ、次期太陽衛星に搭載する望遠鏡の鏡のコーティングに使用する可能性が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
必要な実験機材の調達を終え、開発に取り組めている。海外の研究者との意見交換に重心を移しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の研究者との意見交換の場を積極的に設けたほうがよいことがわかってきた。特に、米国企業の研究者とのコミュニケーションは重要である。
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