2011 Fiscal Year Annual Research Report
局所銀河群銀河の高密度分子ガス広域撮像サーベイに基づく大質量星形成過程の解明
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22540249
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
濤崎 智佳 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (40356126)
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Keywords | 星形成 / 星間物質 / サブミリ波 / 超伝導受信機 / 局所銀河群 |
Research Abstract |
ASTE望遠鏡搭載の345GHz帯受信機CATS345に対して性能向上をはかるため、Orth omode transducer(OMT)を用いることで2偏波同時観測を可能にする改良を進めた。大阪府立大学において製作済の345GHz帯用のOMTを利用し、これを受信機に組み込むため、詳細な検討・設計を行い、これらを完成させ、実験室で性能評価を行った。非常に近距離にある局所銀河群の銀河のような超近傍銀河に対し、銀河全面での分布を仮定なく知ることができるという系外銀河観測のメリットを最大限生かす研究を行うためには、対象の見かけ上の大きさが大きいため、非常に広域にわたって比較的小さな分子雲まで検出できる高感度な観測を実行する必要がある。受信機改良により観測効率の大幅な向上をはかることにより、高密度ガスの効率的なトレーサーであるCO(3-2)分子輝線を用いて、非常に近距離にある局所銀河群の銀河(M33など)に対し、かつてない広さ(数100平方分規模)での、系外銀河における高密度分子ガスの無バイアス広域サーベイを実施していくことができう。これらとともに、取得済の45m電波望遠鏡の分子輝線データ、ASTE望遠鏡の連続波データ等を用いて、局所銀河群の渦状銀河M33における分子ガス雲や低温ダストの全体像を作成した。これらを用いて、全体の水素ガス雲の量が同じでも銀河の中心に近い内側の領域の方が全体の中の分子ガス雲比率が高くなっていることや、銀河の外側に向かって低温ダストの温度が緩やかに低くなっていること等を明らかにした。これらに関しては、論文出版と報道発表を行った。これらに加え、星形成と密接に関連した高密度分子ガス雲の観測を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受信機改良はほぼ予定通り進んでおり、同時にデータ取得も概ね順調である。また、取得済データに関する出版も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
改良中の受信機は今シーズンに望遠鏡搭載を行い、気透明度や安定度込みの実際の観測環境において、天体高度変化に対するビーム形状や安定性、長時間積分への耐久性等、総合的な性能評価を行う。その上で、これを用いて、主としてM33の分子雲に対する広域CO(3-2)マッピング観測を進め、M33の高密度分子ガス雲の全面マップを完成させる。観測実行と同時に、これまでの観測により得られているCO(3-2)のデータについて、研究会発表や論文出版を行っていくとともに、本年度に得られたデータについても速やかに解析を進めていく。
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