2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540256
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松下 恭子 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50366423)
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Keywords | 銀河 / 銀河団 / X線天文学 |
Research Abstract |
冷たい暗黒物質の重力により、宇宙の銀河、銀河団、大規模構造は階層的に形成されたと考えられている。一方、バリオンは、冷却、星形成、活動銀河核や超新星爆発からのエネルギーの供給などの複雑な進化をとげる。天文学の重要な目的の一つは、星、銀河や銀河群、銀河団がどのように形成されて、進化したかを調べることである。本研究では、銀河団や銀河群、銀河の高温ガスの重元素、温度、エントロピーの分布を調べている。その結果、重元素合成史やバリオンの熱史の研究に新しい視点を与えることができる。 我々は多数の銀河団の銀河団ガス中の重元素の分布を系統的に調べることにより、重元素の多くは宇宙初期銀河団形成期に合成されたことをつきとめた。さらに、はじめて、銀河団全体の鉄の量を測定することに成功した。星の質量との比を調べることにより、銀河団全体の星の初期質量関数や過去のIa型超新星の発生率に制限を与えることができた。また、中規模な銀河団でははじめて、銀河団全体のバリオンの熱的状態を調べることができた。その結果、銀河団の規模にはよらず、理論的予測に比べて、銀河団の外縁部ではおなじようにガスの加熱が少ないことがわかってきた。これにより、宇宙最大の構造である銀河団が最近形成された様子が明らかになってきた。さらに小規模な銀河群の重元素量と銀河光度の比が小さいことから、銀河団、銀河群の過去の熱的歴史も探ることができた。銀河団中心部の重元素の組成比からは楕円銀河から銀河団への最近の重元素供給を調べることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度、第3年度の計画はほぼ終了したが、第一年度の計画の一部にとりかかったことろである。我々の観測提案がすざく衛星のキープロジェクトとして採択され、観測が行われた。全体としては、計画以上に進展したところと遅れているところがあるものの、3年間の予定としてはまず順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主にすざく衛星のプロジェクトとして観測されたペルセウス座銀河団、かみのけ座銀河団、A2199銀河団の銀河団全体の銀河団ガスの重元素分布や熱的状態を調べることにより、巨大銀河団から中規模銀河団まで、系統的に星形成史や熱史を調べる予定である。
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Research Products
(4 results)