2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540256
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松下 恭子 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50366423)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | X線天文学 / 銀河 / 銀河団 / 宇宙の大構造 |
Research Abstract |
冷たい暗黒物質の重力により、宇宙の銀河、銀河団、大規模構造は階層的に形成されたと考えられている。一方、バリオンは、冷却、星形成、活動銀河核や超新星爆発からのエネルギーの供給などの複雑な進化をとげる。天文学の重要な目的の一つは、星、銀河や銀河群、銀河団がどのように形成されて、進化したかを調べることである。本研究では、銀河団や銀河群、銀河の高温ガスの重元素、温度、エントロピーの分布を調べてきた。その結果、重元素合成史やバリオンの熱史の研究に新しい視点を与えることができた。 我々は多数の銀河団の銀河団ガス中の重元素の分布を系統的に調べることにより、重元素の多くは宇宙初期銀河団形成期に合成されたことをつきとめた。さらに、はじめて、銀河団全体の鉄の量を測定することに成功した。星の質量との比を調べることにより、銀河団全体の星の初期質量関数や過去のIa型超新星の発生率に制限を与えることができた。また、中規模な銀河団でははじめて、銀河団全体のバリオンの熱的状態を調べることができた。その結果、銀河団の規模にはよらず、理論的予測に比べて、銀河団の外縁部ではおなじようにガスの加熱が少ないことがわかってきた。重力レンズにより測定された銀河団の質量と比較した結果から、銀河団の成長により解放された重力エネルギーは直接ガスの内部エネルギーに変換されるのではなく、一部は、ガスの大規模運動や対流のエネルギーとなっていることが推定される。これらの観測により、宇宙最大の構造である銀河団の形成の現場が明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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