2012 Fiscal Year Annual Research Report
超対称ゲージ理論の格子上での定式化と格子重力への拡張
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22540261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河本 昇 北海道大学, -, 名誉教授 (50169778)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2015-03-31
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Keywords | 格子場の理論 / 格子超対称性 / 国際共同研究・イタリア・トリノ / 超対称性理論 / 素粒子論 |
Research Abstract |
我々は超対称性の格子上での定式化を目指して研究を続けてきた。これまでリンク・アプローチという定式化を提案しその後最近ダブラー・アプローチを提案した。 Species Doublers as Super Multiplets in Lattice Supersymmetry: Chiral Conditions of Wess-Zumino Model for D=N=2, A.D'Adda, I.Kanamori, N.Kawamoto, J.Saito: JHEP 1203 (2012) 043. Species Doublers as Super Multiplets in Lattice Supersymmetry: Exact Supersymmetry with Interactions for D=1 N=2, A.D'Adda, A.Feo, I.Kanamori, N.Kawamoto, J.Saito: JHEP 1009 (2010) 059. この定式化は超対称性を格子上で厳密に実現する新しい定式化であるが、非局所性を持っている。そこでこれら非局所性が、はたして量子論的及び数値的に困った問題を起こさないか調べてきた。その結果、ワード・高橋恒等式を2ループ・レベルまで調べ超対称性が量子論的に保たれている事を示した。この成果は2012年オーストラリア・ケアンズの格子国際会議で報告した。その後非摂動的にも超対称性が保証されるかを数値的に調べるため1次元、2次元のベス・ズミノ模型に対して数値計算を行い非局所性も含め上手くいっていることを確かめた。現在上記の2点に関して論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、超対称ゲージ場の理論を重力を含む形で格子上で実現する事を目標に研究を進めている。現段階でゲージ理論を含まない段階での超対称性の格子上での定式化に関しては、実現されたと考えている。超対称性を厳密に保った形でのゲージ対称性の導入には超えられない困難が存在している可能性が有る。これが出来ないというNo-Go定理になり得るのか、現在研究中である。ただこれまでの定式化では、微分形式を導入したフェルミオンのディラック・ケーラーの定式化との関連が明らかになってきたので、ゲージ理論への拡張が出来れば重力への拡張は可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまで格子上で厳密に超対称性を保つリンク・アプローチとダブラー・アプローチの二つの定式化を提案してきた。リンク・アプローチは非可換性を持ち、ダブラー・アプローチは非局所性を持っている。現在ダブラー・アプローチに対してゲージ場を含む定式化への拡張の研究を続けている。この定式化は座標表示では非局所的な新しい積を定義しており、この積の元で厳密な超対称性が保たれている。この積のゲージ対称性への拡張に格子超対称性の本質的問題が隠れていると現在考えている。特にこの問題と超対称異常項の関連を格子超対称性の立場から明確にしたい。現在上記の格子超対称性のゲージ対称性への拡張において何が本質的な問題か、明確になってきたのでこの点を次の目標に正則化の観点から明確にしていきたい。この過程で超対称性の破れに関しての機構、その破れの重力との関連へのヒントを得られるのではないかと期待できる。また格子フェルミオンのディラック・ケーラー機構との関連は重力と物質場の定式化への接点を与える可能性が大きいので、注目していきたい。
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