2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540262
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 浩一 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20335293)
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Keywords | 中性子過剰核 / 対相関 / 双中性子相関 / 反応断面積 / 陽子過剰核 / 2陽子放出崩壊 / 3体模型 / クーロン分解反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、弱束縛中性子過剰核における核子間対相関とその対移行反応への影響を解明し、強い双中性子相関を実験的に探るための方法を探索することである。これに関連し、本年度は以下の研究成果を得た。 1.中性子過剰核の反応断面積(相互作用断面積)はしばしば、偶数の質量数を持つ原子核の断面積に比べて奇数の質量数を持つ原子核の断面積が大きくなるという偶奇効果を示す。この偶奇効果と対相関の関係を調べ、奇核における反応断面積の増大が原子核のハロー構造によること、及び、対相関により偶核の断面積が抑制されることを示した。更に、偶奇パラメーターを導入し、このパラメーターと中性子分離エネルギーとの間の相関を論じた。 2.前年度構築した1次元3体模型を陽子過剰核に適用し、2陽子トンネル崩壊の解析を行い、2陽子がポテンシャル障壁をトンネルする際に系がどのように時間発展をするのかを明らかにした。 3.陽子過剰核^<17>Neに対し、^<15>0+p+p構造を仮定した3体模型計算を行い、基底状態と同様に、励起状態においても2陽子間に働くクーロン力の効果は核力による対相関相互作用に比べて弱いことを明らかにした。 4.中性子過剰核^<31>Neの構造を粒子回転子模型を用いて解析し、芯核^<30>Neの回転の効果を議論した。特に^<31>Ne核のクーロン分解反応の解析を行い、分解反応断面積の実験データから示唆される^<31>Ne核の構造を同定した。 この他に、関連課題として、中重核領域におけるハイパー原子核の集団運動に対するラムダ粒子の不純物効果、ラムダ・ハイパー核に対する新しい相対論的模型の構築、中性子星の新しい観測データを用いた中性子星の構浩の解析、に関する研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元3体模型を用いた計算のうち、2陽子放出現象の計算はほぼ目的に達成することができた。この計算を基に2中性子移行の計算を始められる見込みである。^<31>Ne核の反応断面積の計算に関しては、原子核が球形であるときの計算をまず行い、変形した原子核に対する対相関及び反応断面積の計算を行う準備がほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2陽子放出に対する1次元3体模型を用いた研究で得た知見をふまえ、これを現実の3次元系に拡張する。1次元系では2つの陽子が束縛してしまうという現実とは異なる点があったが、3次元系において2陽子が束縛しない状況下で結果がどのように変化するか考察する。その上で、本研究の最終的な目的である2中性子移行反応の計算を行う予定である。また、^<31>Ne核に対してこれまで行ってきた計算に基づき、芯核が変形した場合の対相関を議論し、変形効果を考慮した反応断面積の系統性に関する知見を得る。
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