2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方程式を用いたFermi、CTA時代の宇宙線起源伝播モデルの構築
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22540264
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
柳田 昭平 茨城大学, 名誉教授 (40013429)
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Keywords | 宇宙線 / 太陽変調 / 確率微分方程式 |
Research Abstract |
今年度は、銀河宇宙線の太陽変調の研究を中心に据えた研究を進めた。惑星間空間の磁場(HMF)としてParker型とFisk型をとりあげ、それぞれについて宇宙線の太陽変調の電荷符号依存性のシミュレーション実験を行った。宇宙線の伝播は、それを記述するFokker-Planck方程式に等価な連立確率微分方程式の数値解を求める方法によった。開発した時間依存を入れた3次元のコードを改良し、Fisk型のHMFでのシミュレーションを可能とした。宇宙線陽子のサンプル軌道を調べると、極性qAが正の時は極方向から赤道面に向かいドリフトし、qAが負の時は、陽子は赤道面近くの波打つカレントシートに沿ってドリフトする。この傾向は、Parkerモデル、Fiskモデルどちらにも共通することである。しかしFiskモデルの場合には、極性qAが正の時はParkerモデルと比較すると赤道面に向かって迷走する傾向が強くなる。またqAが負の場合にはカレントシートから離れる傾向が見られることが判明した。この傾向は、Fisk型のHMFでは、太陽の微分回転のために、太陽表面近くの磁場の乱れが惑星間空間の磁場の乱れに起因すると理解される。また太陽圏境界での宇宙線強度を一定と仮定して、太陽から1天文単位の位置での期待される宇宙線強度の緯度依存性を解析した。qAが正の場合はFisk型の場合の強度はParker型に比べて低く、qAが負の場合は、逆にFisk型の場合の強度の方が高くなることが判明した。またBESS実験による陽子エネルギースペクトルの観測結果との比較では、Fisk型を仮定した場合の方が一致が良いことが解った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
宇宙線の超新星起源に関する論文は、ほぼ完成しており、近々のうちに投稿する予定である。太陽変調の数値シミュレーションプログラムの一部に小さなバグがあるらしいことをつきとめてはいるが、まだ完全には修正が済んでいないため論文の雑誌投稿が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
銀河円盤内、および銀河ハロー内の磁場モデルとしてASS、BSS二つのモデルが提唱されている。本年度は、近傍の超新星残骸で加速された電子成分の太陽系への伝播について、これらの磁場中でのドリフト運動の影響をシミュレーション実験によって調べる。また最近WMAPの観測から提唱されている新しい磁場モデルについても、ドリフト運動の様子を検討し、宇宙線観測から銀河磁場モデルを推測する新手法の開拓を試みる。
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