2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙初期におけるスカラー場の進化の宇宙論的観測に基づく探求
Project/Area Number |
22540267
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 雅裕 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (50202031)
|
Keywords | 宇宙論 / アクシオン / 立相欠陥 / 素粒子的宇宙論 / ドメイン・ウォール |
Research Abstract |
・アクシオンモデルにおけるスカラー場の宇宙論的進化 素粒子の強い相互作用におけるCPの問題を解決するPeccei-Quinn機構に現れるアクシオンは暗黒物質の候補としても注目されている。アクシオンモデルでは宇宙初期にコスミックストリングが生成され、ストリングはアクシオンを放出しながらエネルギーを失っていくことが知られている。川崎達はアクシオンモデルに現れるアクシオニック・ストリングの宇宙論的進化を調べ、ストリングから放出されるアクシオンのエネルギースペクトルを正確に評価した。またそれに基づき現在の宇宙におけるアクシオン密度を評価し、PQスケールに対する制限を得た。 ・宇宙初期におけるQボール生成 宇宙のバリオン数を生成する機構として有力視されているアフレック・ダイン機構に伴って生成されるノントポロジカル・ソリトンであるQボールについて、高精度の3次元数値シミュレーションを用いて詳しく解析した。その結果、生成されるQボールの半径、チャージ、アフレック・ダイン場の初期値の間の関係や反Qボールが生成やQボールのチャージ分布などを定量的に明らかにした。 ・位相欠陥から放出される重力波の研究 初期宇宙相転移によってドメインウォールが作られる際に生じる重力波のスペクトラムを宇宙が物質優勢期・放射優勢期の両方の場合に3次元シミュレーションにより評価し、さらにシミュレーションのダイナミックレンジが小さいという欠点を補うために半解析的に重力波スペクトルを求める方法を示した。
|