2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540270
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50242392)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 場の理論 / 厳密くりこみ群 / ゲージ対称性 |
Research Abstract |
ゲージ対称性を持つ系を厳密くりこみ群で扱う際、必然的に起こるみかけのゲージ対称性の破れの構造を解明し、系の持つ対称性を維持したフローの計算を提案することが研究目的である.この問題は、この分野の研究者の間で難題と認識されており、重要性を認識しながら問題と直接対峙することを避ける以外の方法がないとされてきたものである. 非可換ゲージ論についてこの問題を考えることが重要であるが、厳密くりこみ群で導入される運動量切断とゲージ対称性の間にある矛盾の問題は、QEDですでに現れ、大きな困難となることから、QEDについて検討することを本研究の主目的にして来た. ウィルソン作用を、場について低次の多項式で近似、さらに、微分展開の最低次の近似で与え、修正されたワード・高橋恒等式を解いた.これに対応する1PI有効作用を書き出し、くりこみ群のフロー方程式を検討した.修正されたワード・高橋恒等式の情報を利用したフロー方程式を得た.実際に数値計算を行い、作用に現れる相互作用定数などの変化を得ている. 昨年度の研究の結果を検討する間に、修正されたワード・高橋恒等式の、微分展開によらない解を得る可能性を解明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に従って論文をまとめる用意をしていたが、より精度の高い計算の可能性が開けたので、これを検討することにした.微分展開によらずに、修正されたワード・高橋恒等式から得られる条件が解けてしまう可能性のあることは全く予想していなかった.研究目的の理解は深まると考えているが、成果の発表が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
年度後半に至るまで、修正されたワード・高橋恒等式を解を、微分展開の最低次で求める方針を持っていた.平成25年度の申請書の計画通りに実行し、くりこみ群のフローの計算を行なうことを始めていたが、さらに精度の良い計算の出来る可能性に気付いた.つまり、微分展開によらずに、修正されたワード・高橋恒等式の解くことができそうである.これを具体的に実行するのが、次年度の取組みとなる. 具体的には、次のことを検討する.1)場の高次微分からの寄与の可能性も含めて、場について展開の低次の多項式で書かれたウィルソン作用を与え、修正されたワード・高橋恒等式の解として制限をつける.2)求まったウィルソン作用から1PI有効作用を求める.場についての展開ながら、修正されたゲージ対称性の情報を取り込んだ1PI有効作用を得たことになる.3)この1PI作用を用いてフローの式を解き、修正されたゲージ対称性を課さない場合のフローとの比較を行なう. 難題であるにも関わらず、QEDに関しては研究目的を解明する骨子が整ったと考えている.現在の計算を緻密化し、論文にまとめる作業とともに、非可換ゲージ論へ拡張できるような理解を得ているのか検討する必要がある.
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