2010 Fiscal Year Annual Research Report
超重力理論から創出される非等方インフレーション宇宙の研究
Project/Area Number |
22540274
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早田 次郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00222076)
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Keywords | インフレーション / 非等方 / 宇宙背景輻射 / PLANCK / 宇宙論的摂動論 |
Research Abstract |
宇宙背景輻射観測衛星WMAPによってインフレーション理論の枠組みの正しさは検証されたと言っても過言ではない。これにより宇宙論は精密観測の時代に入った。パーセントレベルの観測でどのような微細構造が現れ、そこにどのような基礎理論の痕跡が潜んでいるのかを明らかにすることが重要となっている。本研究は素粒子の標準理論に常に現れるベクトル場がインフレーションモデルにどのように寄与するのかを明らかにし、その予言を宇宙背景輻射観測衛星PLANCKによって検証することを目的とする。具体的には、ベクトル場による非等方インフレーションの基礎理論構築と宇宙背景輻射への予言、観測データとの比較検討を行うことを目的としている。 本年度の研究計画は非等方インフレーション宇宙における宇宙論的摂動論を構築することであったが、目的は完全に達成することができた。これまでに様々な試みはあったが、我々の仕事は非等方宇宙の摂動論から具体的に結論を引き出すことに成功した世界で初めての例となった。さらに、指数関数的ポテンシャル関数の場合に非等方インフレーションの厳密解を求めることに成功した。これは従来の解析に盲点があったことを示すとともに、非等方インフレーションモデルの一般性を示したことになる。さらに、我々の構築した宇宙論的摂動理論を応用することで宇宙背景輻射のスペクトルの非対角成分を計算することで検証可能な予言を行うことに成功した。これは、もうすぐ公開されるであろうPLANCK衛星の観測データによって検証可能であると思われる。もし検証されれば宇宙論と素粒子論との関係に新たな窓を開くことになる。
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