2012 Fiscal Year Annual Research Report
原子核構造と分子共鳴の統一的記述と中性子過剰核のクラスター現象
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22540275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
延與 佳子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40300678)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 原子核構造 / 不安定原子核 / クラスター / 分子動力学 |
Research Abstract |
微視的数値計算の一つである反対称化分子動力学法を用いて原子核の構造の理論研究を行った。主に軽い安定原子核および不安定原子核の基底・励起状態の構造を調べ、クラスター構造の解明を行った。特に本年はベリリウム(Be)、ホウ素(B)、炭素(C)同位体において基底状態および励起状態に見られるクラスター現象を研究した。これらの同位体に関する最新の実験値を我々の理論計算の結果と対応させて議論し、変形構造やクラスター構造に関する新たな知見を得た。 11Bに関しては3体クラスター構造をもつcluster gasやlinear chainが示唆した。特に、3番目の3/2-状態はHoyle状態として知られている2Cの2番目の0+状態に類似したクラスター気体状態であることを示した。また、また、我々の提案した鈍角三角形の3α配位をもつ幾何学的な0+状態に対応すると考えられる状態が、最近の12Cの実験で10MeV近傍に見つかり、多様な3αクラスター状態が存在することが示唆された。 さらに、C同位体の変形構造の中性子数依存性を、最近測定されたE2遷移強度の実験と対応させて議論した。中性子の付加による中性子の構造変化が、16Cにおける2+状態での陽子励起を抑制するのに対して、20Cにおける中性子は陽子と同じ変形をもつことに起因して陽子励起が引き起こされることを発見し、この効果がE2遷移強度の実験値の系統性を説明できることを示した。 また、13Beの構造を調べた。負パリティの1/2-状態が最低エネルギー状態として現れるという理論結果を得て、実験結果と矛盾しない。ことのことから、N=8魔法数が破れる可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラスター励起状態の理論的探索を行い、様々な不安定核でのクラスター状態を発見および予言することに成功した。我々の理論結果は、最近の観測データと良く対応しており、理論模型の信頼性を確認できた。例えば、13Beの構造研究では、最低エネルギー状態に1/2-状態が表れることを理論結果として得ており、この状態が実験で示唆されている1/2-状態に対応すると考えられる。13Beの弱く束縛された中性子の振る舞いを調べるためのモデルの拡張も行い、拡張したモデルがBe同位体の記述に有効であることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
原子核励起状態に多様なクラスター状態が出現することがわかったので、今後は原子核内でのクラスター形成とその励起モードの発現メカニズムを解明する。そのために、当面は中性子過剰核におけるαクラスター状態に焦点をあてて系統的に調べることで、中性子過剰核におけるαクラスター形成と中性子過剰な原子核とαクラスターの間の運動メカニズムを研究する。これまでの研究進展の中で、相互作用の不定性やクラスター崩壊幅の評価など解決すべき問題も明らかになっており、αクラスター励起状態と反応を結びつける理論的手法の構築にも着手する。
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Research Products
(18 results)