2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540280
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀内 昶 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (60027349)
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Keywords | クラスター・ガス / ボーズ凝縮 / 4α凝縮状態 / 4αTHSR波動関数 / 4α0CM / Hoyle状態 / α非弾性散乱 / 単極励起関数 |
Research Abstract |
本研究計画は、原子核構造の全く新しい形態であるαクラスターのガス的な状態の存在を確立させることを目指すものである。そしてその具体的な研究の中心は^<16>0核において4個のαクラスターのガス的な状態を同定することである。今年度は、^<16>0核において4個のαクラスターのガス的な状態を同定すべく3種類の研究を進展させた。第一は、4αTHSR波動関数だけを用いた完全微視的計算でPhys.Rev.C誌に掲載された。この計算は4αのボーズ凝縮状態の存在を示すもので、以前の4α0CM計算と同じ結論であり、両方の計算結果は励起エネルギーでも波動関数の性格でも互いに良く整合するものであった。第二は、4α0CMの計算を改良することによって研究の進展を図ったものである。具体的には4体系の相対運動の部分波をかなり増加して計算を行ったものである。これにより0^+状態以外の多くのスピン・パリティ状態の研究が可能になった。それに加えて0^+状態についてもより高い励起エネルギー領域の研究も進展した。重要な結果として、3つのαクラスターが^<12>CのHoyle状態を形成して、その周りを4番目のαクラスターがS波やそれ以上の部分波で運動する状態が存在することを予言した。これはクラスター・ガス状態の構造としては自然ではあるが新しいタイプの構造である。^<12>C+^<12>Cの分子共鳴の状態についての以前の研究に於いて^<12>C核が^<12>CのHoyle状態に励起した共鳴状態が議論されたが、ここで得られた^<16>0核の励起状態はそのような状態と類似である。ただし、我々の計算は4体問題を解いた結果として3つのαクラスターが^<12>CのHoyle状態を形成することが示された点が極めて重要である。第三は、^<16>0のα非弾性散乱の結果の単極励起関数の研究である。4α0CM計算の結果を用いると、実験で得られた単極励起関数が良く再現されることが分かった。励起関数に4α凝縮状態がはっきりと見えているわけである。
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