2011 Fiscal Year Annual Research Report
余剰次元に基づくカイラルフェルミオン生成の新しい機構と階層性問題の解決
Project/Area Number |
22540281
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 眞人 神戸大学, 理学研究科, 助教 (30183817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 省吾 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90273482)
竹永 和典 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (50379294)
長澤 智明 阿南工業高等専門学校, 一般教科, 講師 (20435465)
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Keywords | 余剰次元 / ヒッグス機構 / カイラルフェルミオン / 高次元ゲージ理論 / 質量階層性問題 / 高階微分 |
Research Abstract |
標準模型におけるヒッグス粒子はゲージ対称性の破れとフェルミオンの質量の起源となる重要な役割を担っているが、ヒッグス粒子はスカラー粒子なのでゲージ階層性問題を引き起こすことがわかっている。その解決として、高次元ゲージ・ヒッグス統一模型が提唱された。しかしながら、最も簡単な模型はヒッグス粒子の質量が軽くなりすぎて実験と矛盾することが指摘された。その問題を解決するために、余剰次元方向に高階微分項を導入した模型を我々は提唱し、その結果、量子補正が通常の場合に比べて非常に大きく、軽いヒッグス粒子質量の問題が解決可能であることを明らかにした。 標準模型は最終的な理論とは考えられておらず、多くの問題と謎が残されたままである。例えば、1)ゲージ対称性の破れの起源となるヒッグス粒子の質量二乗はなぜ負なのか? 2)なぜフェルミオンはすべてカイラルフェルミオンなのか? 3)フェルミオン質量の間に大きな階層性があるのはなぜか? これらの問題を、4次元場の理論の枠組みの中で自然に解決することは難しい。そこで、余剰次元として1次元線分をもつ5次元ゲージ理論の一般的な枠組みの中で、一般的な性質として、1)~3)の性質が自然と理論の中に組み込まれていることが明らかになった。今年度は具体的な5次元模型を提唱し、現象論的に実験結果を再現できるかを数値的に解析した。まだ、完全には解析が終わっていないが、定性的にはうまくいっていることが示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的で掲げた問題点「カイラルフェルミオンと世代数問題」と「クォーク・レプトンの質量階層性問題」を解決する模型を現在解析中であり、予定通りに研究が進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
「カイラルフェルミオンと世代数問題」と「クォーク・レプトンの質量階層性問題」を解決するためのメカニズムを提唱し、それに基づいて具体的な高次元模型を構築したので、現象論的に実験結果を再現できるかどうかを、数値的に検討を進めていく予定である。現在はクォークセクターに限った議論だが、それに目処がつき次第、レプトンセクターの解析を進めるつもりである。そこでは、現在謎とされている、ニュートリノのフレーバー混合の問題の解決も視野に入れている。
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Research Products
(5 results)