2011 Fiscal Year Annual Research Report
Wilson流繰り込み群による非線形な対称性を持つ場の理論の物理的描像の検証
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22540286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 恒司 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00202268)
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Keywords | Wilson流繰り込み群 / 有効場理論 / 非線形対称性 |
Research Abstract |
昨年我々が行い、学術論文として出版した2核子以上の核子間の相互作用を記述する核子系有効場理論に対するWilson流繰り込み群の研究に基づき、S波での散乱に関する解析的な計算をNNLO(Next-to-next-to-leading order)まで行う研究をした。上述の論文では、Wilson流繰り込み群を実行するために、あらわな運動量切断を導入したが、この方法ではLeading orderの演算子は考慮する演算子の線形結合として表わされるため、近似の次数を上げるたびに変更され、次数の高い近似計算には向かない。そのために、運動量切断の優れた点を保持しつつ、計算を簡単にするために次元正則化の方法を併用する新しい手法を提唱し、それに基づく計算を行った。この計算は3-ループのダイアグラムの評価も含む複雑なもので、現在のところ、spin singletに関してはほぼ完全な計算と繰り込み群による理解が得られたが、spin tripletに関しては、amplitudeの解析的な表式が得られた段階で、まだ繰り込み群による解析や、実験値とのfitを行う段階には達していない。今までの研究内容と、途中経過については、国際会議で報告した。 この研究は、交付申請書に記載した内容からは若干ずれるが、現在学会で広く了解されている内容について根本的な見直しを迫る内容であり、緊急性、重要性が格段に高いと判断して昨年度に続いて研究を行っている。 少数多体系の基本的な問題として、2体力が繰り込みの効果としてどのように3体力に効果を及ぼすかを理解することは重要である。そのため、非相対論的3体系のWilson流繰り込み群の研究を行った。特に、今まで看過されてきた2体系のamplitudeのoff-shellでの値の依存性を明らかにしつつある。この研究も来年度に継続し、論文にまとめたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書を作成した時点では考えていなかった発展があり、その重要性と緊急性から、申請書に記載した研究の目的からは少し外れた研究に重点を移したため、当初計画していた研究に関しては計画からは遅れてしまっている。現在行っている研究に関しては比較的順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も昨年度、今年度の方針を踏襲し、当初の研究計画を変更して、より重要度の高い課題の解決に全力を尽くしたい。現在進行中の計算を可及的速やかに終了し、その研究結果を学術論文として発表する予定である。
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