2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540291
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
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Keywords | 重力理論 / ダークエネルギー / 宇宙論 / 素粒子統一理論 / インフレーション / 超重力理論 / 超弦理論 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙論・宇宙物理の3つの重要課題に対して、重力物理学の観点から解析し、その答えを探りつつ、重力理論そのものの研究にもつなげることを目的としている。 本年度は主に、超弦理論やその有効理論である超重力理論に基づき、ブレインを基礎にした初期宇宙モデルの解析を行った。そこでは、自己重力を考慮したブレイン宇宙モデルの解析を行い、インフレーションの起源など、素粒子基礎理論から宇宙初期の考察を行うことを目的としている。そこ結果、まず、ブレインの自己重力を考慮した時空モデルから、時間依存した宇宙論的ブラックホール解の構成に成功した。現在、このアプローチを拡張し、ブレインの運動を考慮したインフレーションモデルの構築を目指している。 一方、量子重力理論の候補として近年注目されているHorava-Lifshitz重力理論を基礎に初期宇宙モデルを解析した。その結果、その理論には特異点を避ける傾向があり、一般相対性理論を基礎にしたビッグバン宇宙論の困難である「宇宙初期特異点問題」を解決する可能性を持つことを明らかにした。この性質を利用したより現実的な初期宇宙モデルの構築はこれからの課題である。また、現在このモデルを非等方モデルに拡張し、この理論が内在する特異点回避という性質の普遍性について解析を行っている。 また、ダークエネルギー問題に関しては、提案されている種々の重力理論を系統的に解析し、観測・実験との整合性を明らかにすることを考えているが、その作業に関しては現在進行中で、特にその過程で、bi-gravity重力理論については新しい成果を得つつある。
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