2011 Fiscal Year Annual Research Report
2重荷電交換反応によるハイパー核の生成・崩壊のスペクトルとハイペロン混合
Project/Area Number |
22540294
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
原田 融 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (70238187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 義治 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (60271714)
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Keywords | 理論核物理 / 核反応 / ストレンジネス / ハイパー核 / 荷電交換 / ハイペロン混合 / 束縛状態 / 角分布 |
Research Abstract |
稼動を開始した大強度陽子加速器施設(J-PARC)によって、ハイペロンを含んだ原子核(ハイパー核)の存在様式やこれを構成するバリオン粒子(ハイペロン-核子、ハイペロン-ハイペロン)間の相互作用が解明されると期待されている。本研究の目的は、多配位チャネルに拡張されたグリーン関数法を活用して、2重荷電交換反応によって生成される中性子過剰なハイパー核などの生成反応スペクトルを求め、実験データとの比較から構造と相互作用の特徴を明らかにすることである。今年度は、多配位チャネルに拡張されたグリーン関数法の計算コードを開発するとともに、ハイペロン-原子核間の相互作用を解明するために有効な反応過程の検討を進めた。その結果、ヘリウム3原子核を標的にした(K-,π±)反応によるハイパー核生成スペクトルの理論計算によって、A=3シグマハイパー核ΣNN(3He_Σや3n_Σ)の束縛状態のスペクトルを求めた。特に過去にBNLで行われた2重荷電交換反応実験(K-,π+)によってΣNN束縛状態は存在しないことが示唆されていた[Barakat,NPA547(1992)157c]が、束縛状態の生成率が相対的に小さくなる機構があるためにピークとして観測されないことが分かった。これはΣN相互作用の特徴であるスピン-アイソスピン依存性によって、芯核NNのスピン1重状態とスピン3重状態の混合が生じるためであり、ハイパー核生成スペクトルはバリオン混合とともに芯核状態の混合にも強く影響を受けることが分かった。本研究よる理論予測はΣNN束縛状態の実験的な探索を進める上で不可欠なものである。また一方で、シグマ粒子-原子核間ポテンシャルの強さは未だ定量的に確定されていないが、シグマ粒子-原子核の弾性散乱の角分布によって、ポテンシャル内部の振る舞いの差異を明らかにする可能性が高いことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計算コードの開発に、やや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、集中的に議論する機会が少なく、本研究課題を推進するためのエフォートが低迷した。1年間の研究実施計画を早期に確定して十分なエフォートを確保するとともに、定期的な研究打合せの機会を設け、研究代表者・研究分担者間の連携をより密接にすることで効率的に作業を進めるように努める。
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Research Products
(8 results)