2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540295
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
須佐 元 甲南大学, 理工学部, 准教授 (00323262)
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Keywords | 宇宙物理学 / 宇宙論 / 星形成 / 輻射流体 / 初代星 / 非理想磁気流体 |
Research Abstract |
1. 初期宇宙に存在するはずの種磁場の大きさを見積もるため、2次元の輻射流体計算によって初代星の近傍に発生する磁場の強度を計算した。その結果、輻射によって初代星の周りに出来る種磁場の大きさは10^<-17>-10^<-18>G程度以下であることが分かった。またこの強度は、その後の星形成過程に直ちに影響を及ぼすほど強くはないことが明らかとなった。この研究に関してはすでに輻射の効果のみを考慮した結果を雑誌論文に発表した。また、流体効果、すなわちビアマン・バッテリー効果も考慮した計算を実行した。その結果、この効果は輻射の力によるものに比べておよそ一桁強く働くことが明らかとなった。この結果は論文にまとめている段階である。 2. 1.で求めたような、初期宇宙に存在する微弱な種磁場はやがて増幅されてその後の星形成に重要な役割を果たすことが期待される。そこでまず我々は、初期宇宙の環境、すなわち金属の少ない環境で磁場とガスの結合の様子を調べた。またこの結合の様子が宇宙の進化とともにどのように変化していくかを調べるために、様々な金属量で計算を行った。その結果、金属量が太陽の1000万分の1以下であれば、磁場はガスと常に結合していることが分かった。一方、10万分の1-百分の1程度では星の形成時に結合が切れて磁場が散逸してしまい、現在の星形成領域で見られるような双極分子流などがあらわれない可能性があることが分かってきた。現在この結果は投稿論文にまとめているところである。
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Research Products
(4 results)